なぜバルサは厄介者デンベレの“飼い殺し”を止めたのか。番記者が明かす騒動の顛末と方針転換した「3つの理由」【現地発】

2022年02月20日 エル・パイス紙

クラブはシャビにデンベレを起用しないように命じた

契約延長を拒否し、飼い殺し状態でシーズンを終える可能性もあったデンベレだが…。(C)Getty Images

 ウスマンヌ・デンベレを巡る去就問題は、今シーズンいっぱいまでの残留という形で一応の決着を見た。しかし実のところ、本人は周囲の喧騒もどこ吹く風といった印象で、騒動の間も笑顔を浮かべながら、練習に取り組んでいた。事情を知らない人間が見れば、バルセロナに入団して以来、最高の時期を過ごしていると思ったことだろう。チーム関係者はそんなデンベレを「根はいい奴なんだ。ただ、自分の世界の中だけで生きている」と評する。

 数か月前、クラブは監督のシャビにデンベレを起用しないように命じた。契約延長交渉が難航する中、オファーに応じるよう圧力をかける意味合いがあった。デンベレが別格の才能の持ち主であることはクラブに関わる全ての人間が理解している。クラブの関係者が説明する。

「練習を見れば、一目で分かる。いつも驚かされている。彼のポジションで世界トップ5に入る。判断ミスを繰り返す傾向が相変わらずだとしてもね」

 しかし、デンベレは「脅迫には負けない」とSNSを通して反発。圧力に屈することはなかった。そんな両者の軋轢を目の当たりにして渋い表情を浮かべていたのが他でもないシャビだ。当時はまだアダマ・トラオレとピエール=エメリク・オーバメヤンが加入する前。アブデ・エザルズリやフェラン・ジュグラが期待以上の働きを見せていたとはいえ、指揮官はチームが巻き返しを期すには、デンベレが必要な戦力と考えていた。

【動画】契約延長を拒否したデンベレに本拠地カンプ・ノウが大ブーイング
 ジョアン・ラポルタ会長はそんなシャビの希望を受け入れたのは、レアル・マドリーと激突するスーペルコパ・デ・エスパーニャの準決勝が目前に迫っていたからだ。しかしそれが限界だった。コパ・デル・レイのラウンド・オブ16のアスレティック・ビルバオ戦の前日に、契約延長に応じない限り、2度とバルセロナのユニホームを着てプレーすることがないと決定したのだ。

 このクラブの強硬路線への転換はデンベレが予想していないことだった。「それは代理人も同じだろう。結局のところ、デンベレは彼らから言われるがまま行動しているに過ぎない」。クラブ内部からこんな証言が聞こえてくるが、彼らの不満の根底にあったのがデンベレサイドの態度の豹変だった。

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