【クラブW杯】決勝でチェルシーに挑むパルメイラスってどんなチーム? 昨年の失態、ライバルからの嘲笑、破綻危機を救った女性…[ブラジル発]

2022年02月12日 リカルド・セティオン

第3の黄金期をまさに迎えている

2年連続でクラブW杯に出場しているパルメイラス。悲願の初制覇なるか。(C)Getty Images

 2000年にクラブワールドカップが始まって以来、同じチームが連続して南米代表となるのはこれが初めてである。パルメイラス。昨年の大会は良いところを見せられなかった彼らは、今回は固い決意をもって決勝に臨むはずである。それにはある理由がある。

 パルメイラスはサンパウロ市のイタリア系の多い地区のチームで、元々は「パレストラ・イタリア」と呼ばれていた。しかし第二次世界大戦、同盟国側だったブラジルにとってイタリアは敵国となる。早急に名前の変更を迫られ、そんな時に目についたのが練習場の前に生えているヤシの木——パルマだった。以来チームはパルメイラスと呼ばれるようになる。

 パルメイラスはこれまでに3度の黄金期を迎えている。1950年代から70年代にかけては多くの勝利を重ね、まるでお手本のようなチームであるということから「アカデミア」と呼ばれた。

 90年代になるとイタリアの企業パルマラットがスポンサーとなり、イタリアのパルマ同様、多くの資金をパルメイラスに投資。多くのスター選手がプレーした。リバウド、ロベルト・カルロス、カフー、エジムンド、ジーニョ、ミューレル……。セレソンの中心となり、世界チャンピオンとなった選手ばかりだ。

 そして、第3の黄金期はまさに現在だ。経済難のクラブが多いブラジルでは珍しく潤沢な資金を持ち、3年間で2度もコパ・リベルタドーレスを制している。その強さの源となる資金は、思わぬところからもたらされた。レイラ・ペレイラ。銀行家、弁護士、ジャーナリストを兼ねるやり手のビジネスウーマンが、クラブにぽんとカネを出したのである。

【PHOTO】「美人すぎる」、「セクシーすぎる」フットボーラーの妻&恋人たち
 現在57歳の彼女は、元々パルメイラスのファンでもなければ、サンパウロの人間でもない。600キロも離れたリオデジャネイロの出身だ。まずは、スポンサーとなり、チームの相談役を経て、昨年12月についに夢であった会長の座に就いた。女性がブラジルのビッグ20の会長になったのは、歴史上初めてだ。

 2015年にパルメイラスに関わってきて以来、彼女がチームに投資してきた金は4000万ドル(約46億円)にもなるという。おかげで14年には借金で火の車となり、給料も払えずほぼ倒産状態だったクラブは、南米でも最もリッチなチームの一つに変身を遂げた。
 
 ちなみにパルメイラスのユニホームにプリントされたスポンサー『Crefisa』は金融会社でありFAMは私立大学(Facolta delle Americhe)、どちらも彼女と彼女の夫が経営している。

 豊富な資金力は、ピッチで顕著に表われた。特にブラジルの指揮官の中でも最も高額の報酬で誘われたと言われるポルトガル人のアベウ・フェレイラが、2020年にルシェンブルゴに代わって監督に就任すると、勝利を重ねるようになった。

 20年にはカンピオナート・ブラジレイロ優勝、21年には準優勝、コパ・リベルタドーレスを連覇し、現在はブラジルだけでなく南米でもほぼ敵なしの状態だ。彼らに太刀打ちできるのは国内ではフラメンゴとアトレチコ・ミネイロ、アルゼンチンのボカぐらいだろう。

 そんなパルメイラスとクラブワールドカップには、ある"因縁"がある。ブラジルではよく物笑いの種ともなる因縁だ。

【PHOTO】C・ロナウド、ネイマール、アグエロ、エジル、ポグバetc…世界的名手たちが誇るスーパーカーを厳選&一挙紹介!

次ページ「パルメイラス、世界で唯一、ファックスで優勝したチーム」

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事