【女子アジア杯総括】同格以上に勝ち切れない悪癖を払拭できず。植木理子の本格化など収穫はあったが…

2022年02月11日 西森彰

スクランブル出場の猶本や成宮が代表初ゴール

女子アジア杯はベスト4止まり。準決勝の中国戦は二度のリードを守り切れず、PK戦で涙をのんだ。(C)AFC

 先日の女子アジアカップで、日本女子代表はベスト4という成績だった。

 短い準備期間で、上位5チームに与えられる女子ワールドカップ2023のチケットをしっかりと手にした。もしくは、大会3連覇まであと2勝のところで躓いた。どちらとも言えるだろう。

 グループステージ初戦のミャンマー戦(5-0)では、欧州遠征で見せたハイプレスを継続し、被シュートは0本。ほぼ敵陣内でゲームを続けた。続くベトナム戦(3-0)では、マンマークでまとわりつく相手を走らせて、その足が止まるのを待つ。確実に勝点3ずつを手に入れて臨んだ韓国戦(1-1)は、終盤に追いつかれての引き分けではあったが、当初目標のグループ1位抜け。続くタイとの準々決勝(7-0)を圧勝で飾って、女子ワールドカップのチケットを手に入れた。

「対戦相手の特長と選手のコンディションを見ながら」(池田太監督)選んだメンバーは、初戦から期待に応えた。東京オリンピック出場組でも、年代別代表を同一指揮官の下で戦った若手組でもなく、スクランブル出場した猶本光や成宮唯のように、連係面で不利を否めないと思われていた選手も次々に、代表初ゴールを挙げた。

 チームに帯同した佐々木則夫女子委員長は「選手の良さを察知して、そこを活かしてくれている」と評価し、「多くのものを選手たちに要求しない。ベテラン、中堅、若手といるなかで、シンプルにサッカーのベースからアプローチしてくれているから、選手たちにもわかりやすい」と的を絞った指導を、その要因に挙げた。
 
 欧州遠征では2試合でノーゴール。筆者自身は、準備期間の短さが得点力不足につながるのではないかと懸念していたが、少なくともこの大会を戦ううえでは、致命傷にならなかった。攻撃は余裕を持ってスタートできたため、ペナルティエリア付近でワンタッチプレーからのきれいなゴールも見られた。

「完成度という点では、まだまだ試行錯誤しながらですけれども、前線のコンビネーションでゴールに迫るというのが、我々なでしこジャパンのひとつの武器になると思っていますので、インドに来てからもコンビネーションからの崩し、フィニッシュというのは練習でもやっているところです」(池田監督)
 

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