遠藤航と伊藤洋輝所属のシュツットガルトがまさかの降格危機。ブーイングを拍手に変えた行動に感じた“可能性”【現地発】

2022年02月11日 中野吉之伴

マジョルカで合宿を張って挑むも…

フランクフルトの敗れ、6戦未勝利となったシュツットガルト。遠藤(右端)ら戦力は揃っているのだが…。(C)Getty Images

 遠藤航と伊藤洋輝がプレーするシュツットガルトが2部降格の危機にさらされている。

 昨シーズン、遠藤ら中心選手を軸にサーシャ・カライジッチ、サイラス・カトンパ・ムブンパ、ボルナ・ソサら若手選手が勇敢にダイナミックなプレーを見せていたシュツットガルトはブンデスリーガに新鮮な風を吹かせ、昇格1年目で9位と躍進。注目の的となった。「これからもっとすごいチームになるに違いない!」というワクワク感がこのチームにはあったはずだ。

 そんなチームがいま2部降格圏の17位に沈んでいる。21節のホームでのフランクフルト戦を2-3で落とし、これで6戦未勝利。試合後に膝に手をついたり、天を見上げたりする選手たちの姿からも、重苦しい空気が漂っているのが分かった。

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 代表ウィークを利用して、シュツットガルトはスペインのマジョルカ島で合宿を張った。ペッレグリーノ・マタラッツォ監督は「選手が長い時間一緒に過ごし、互いにコミュニケーションが取れる機会を持つことがチームにもたらすものは大きい。ポジティブに次の試合へ向かえるように準備したい」と中断前のフライブルク戦後に話していた。

 実際、合宿中の雰囲気は非常に良かったようだし、マタラッツォ監督もスベン・ミスリンタートSDも「手ごたえを感じている」という趣旨のコメントを出していた。ただ、それがピッチ上へ反映されない。合宿効果で調子を取り戻すというきっかけを活かすことができなかった。

 試合後の記者会見。ドイツ人記者からの最初の質問は、まさにそこに関してだった。

「合宿でのポジティブな雰囲気をピッチへもたらせなかった理由はどこにあると思うか?」

 マタラッツォ監督は深く息を吸って答え出す。

「いい質問だ。合宿では本当にいい雰囲気だった。試合前の選手の様子からは、とても試合に向けて集中して、気持ちが入っているように感触を感じていた。ポジティブな緊張感があったと思う。ただ、試合が始まってすぐに別の雰囲気を感じた。そして最初のセットプレーで失点してしまった」

 指摘されたように7分の最初の失点シーンは、あっさりとしたものだった。ゴール前に送られたボールが跳ね返されることなくすり抜けて、エバン・ンディッカに決められた。誰もボールへアクティブに動いていない。相手の前に身体をねじ込むという動きも見られなかった。

 不安定さは特にビルドアップの局面で多く見られた。自陣でのパスミスが何度もあった。クリアするかつなぐかの判断が不安定で、相手にぶつけたり、相手の足下に渡ってしまったり。目を覆いたくなるほどのミスが続いてしまう。この時間帯にフランクフルトが決定機をものにしていたら、大敗もありえた。

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