スーパースターを生んだ強豪野球部に続けるか? 5年前から強化に乗り出した花巻東が東北新人大会4強入り!

2022年01月31日 安藤隆人

柱谷哲二氏がテクニカルアドバイザーに

岩手の新鋭・花巻東が東北新人大会でベスト4入りを決めた。写真:安藤隆人

 1月29日から31日にかけてJヴィレッジで行なわれている東北新人大会。東北6県の新人戦で上位3チームに入ったチームが集結して行なわれたこの大会で、旋風を巻き起こしているチームがある。
 
 岩手第一代表の花巻東。この校名を聞いて真っ先に思い浮かぶのは野球部だろう。甲                       子園の常連校で大谷翔平、菊池雄星という2人のメジャーリーガーを輩出した高校としても有名だ。その野球強豪校が5年前からサッカー部強化に乗り出したのだ。

 まず元日本代表でJクラブなどで監督を務めた柱谷哲二氏がテクニカルアドバイザー(TA)に就任。選手のスカウティング、選手への指導だけではなく、「野球部の佐々木洋監督の情熱は凄まじかった」と、サッカー部の強化を切望し、実際に中心となって動いていた佐々木監督の人柄と熱意に心を動かされ、人間教育にも力を入れた。

 水捌けの悪い土のグラウンドを毎日整備し、土が風化していったことで土台となっていた砂利が目立っていたが、それを一つひとつ丁寧に取り除きながらサッカーに打ち込むなど、心技体を鍛えたことで、学校側もグラウンドを人工芝化することを決断。今年、念願の人工芝グラウンドが完成した。

 さらに2019年から指揮官にかつてベガルタ仙台、サガン鳥栖、東京ヴェルディなどで活躍した清水康也監督を招聘。技術面に加えて、「柱谷さんから学びながら、僕もサッカーだけではなく、野球部のように学校生活の面で周りから応援される選手になるように意識をしています」と語ったように、人間性を磨く指導を徹底してやってきた。

 そして、ついにその努力が結実する。新人戦で優勝し、初の県内タイトルを獲得すると、東北新人大会の1回戦では選手権出場49回を誇る秋田商を延長戦の末に下して準々決勝に進出。鶴岡東との準々決勝では相手のカウンターに苦しみながらも、MF工藤琉音、FW作山寛都、左サイドのチャンスメーカーの中村翔大、右MF藤原涼を軸にしたアタッカー陣が徹底したサイド攻撃を披露。26分には左からのクロスのこぼれを藤原が豪快にニアサイドに突き刺して先制点。この1点を守り切って、初出場ながらベスト4進出を手にした。

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