「干渉しすぎない」指導官の下、“古くさい”サッカーで首位を走るマドリー。改善の余地があるポジションは…

2022年01月25日 エル・パイス紙

クロースはスピードという概念と最も遠く離れたところに位置している

リーガで順調に首位をはしり、スーペルコパも制したマドリー。(C)Getty Images

 レアル・マドリーのサッカーはどこか古さを感じさせる。永遠性と言っていいかもしれない。それはビッグデータを活用しても、戦術用語を羅列しても理解することができないものだ。

 ディフェンダーはゴールを守る。ミッドフィルダーはゲームを作る。フォワードは得点を決める。各自が自らに課されたタスクを実行し、しかも最も近いところにいるチームメイトのプレースタイルの特徴にアジャストする。機能美に富んでいるのは、チームとして調和が取れているからに他ならない。

 我々はそうした高次元で流動性を実現しているコンビを「同じサッカー言語を話す」という使い古された表現を使用する。しかし私がここで強調したいのは、異なるサッカー言語を話すプレーヤー同士が構築する補完関係だ。

 それはカリム・ベンゼマとヴィニシウス・ジュニオールの間に芽生えているコンビネーションを見れば分かるだろう。以前、淡白と非難されていたベンゼマがピッチを食い荒らそうかという熱さを見せ、ボールを扱いながらワルツを踊り相手DFを幻惑する。

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 一方、「ゴールチャンス圧砕機」と揶揄されていたヴィニシウスは止められないアタッカーへと進化を遂げ、ゴールとの親密度を深めた。両者ともお互いの持ち味を消し合うことなく、しかし相手DFにとって予測不可能なコンビを形成している。どうやってそれを実現しているのかって?その奥深さこそがサッカーの永遠性なのである。

 中盤に目を向けても、マドリーは伝統的なものが新しいものを凌駕している。3人の賢者による卓越した判断力に基づいたプレーが、スピード重視の昨今の傾向を抑制している。

 その中でもトニ・クロースはスピードという概念と最も遠く離れたところに位置している選手だ。まるで歩いているようにパスを呼び込み、加速する時でさえジョギングしているように見える。しかし相手守備陣の急所を突くボールを出し入れする技術は抜きん出ている。クロースのファーストタッチは相手を騙し、コンマ何秒という時間を稼ぐための手段だ。彼が足元にボールを持つと、時間が止まったように感じられる。

 その周辺ではルカ・モドリッチが足のあらゆる部位を使って、チーム全体を試合に巻き込んでいく。正確さで眩惑し、活気で楽しませ、努力で感動させる。中盤3枚のもう一角を担うのはカゼミーロだ。彼はいうなれば中盤のストッパーだ。憲兵のように攻守の分岐点となるゾーンでどんと構えながら、チームメイトがプレーしやすい状況を作るというサッカー選手として最も重要なミッションを全うし続ける。

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