マインツ・武藤嘉紀が合宿と練習試合で得た収穫と課題とは!?

2015年07月24日 中野吉之伴

サンテティエンヌ戦では相手のチャージに負けず起点となった。

2つの練習試合で、欧州でもやれるという自信を得るとともに、欧州サッカーの厳しさも知った。写真はモナコ戦。 (C) Getty Images

 スイスとの国境に広がるレマン湖畔にあるエビアンは、その名を冠した水で知られているが、リゾート地としても有名だ。来年、フランスで開催される欧州選手権の前には、ドイツ代表も合宿地として滞在する予定だという。
 
 そんなエビアンで、マインツは7月17日から合宿に入っていた。FC東京から移籍してきた武藤嘉紀は、連日のハードトレーニングとテストマッチに全力で取り組みながら、新しい挑戦を楽しんでいるようだ。
 
 合宿中に設けられたインタビューでの「チームに溶け込めていると思いますし、自分のプレーというのも徐々に出せてきていると思います」という言葉通り、練習では臆することなく、キレのある動きを見せていた。
 
 プロクラブ相手としては初となるサンテティエンヌとのテストマッチでは、後半の45分間、右サイドの攻撃的な位置でプレー。相手の激しいチャージにも負けずに、前線でボールを呼び込み、起点となるプレーを見せた。
 
 マインツの地元紙「アルゲマインツァイトゥング」は、この試合での武藤について、2つのプレーを高く評価していた。60分、右サイドから上げた正確なクロス、そしてその直後にDFを完全に崩したスルーパスだ。ともに得点には繋がらなかったが、素質の高さ、そしてブンデスリーガでも通用する可能性をしっかりと感じさせた。
 
 本人は「前を向いてボールをもらえる時は、自分らしいプレーができたと思います。質の良いパスも何度か出せたかなと。ゴール前でのファーストタッチの質が良くなかったので、そこをもう少し上げていかないといけないと思っています」と振り返っていたが、少なからず自分のプレーが通用するという手応えを掴んだことだろう。
 
 モナコ戦前日に行なわれた11対11の戦術練習では、FWフロリアン・ニーダーレヒナーが負傷離脱したことも影響し、武藤はCFの位置に入った。
 
 守備ラインからビルドアップを行なう相手に対し、どのようにプレスをかけるのかを確認。マインツでは、守備時にトップ下の選手と並ぶ形をとる。片方がCBに当たると、もうひとりが中に絞り、ボランチへのパスコースを消すのが常套手段だ。
 
 しかし、始まって少しすると、武藤の出足が遅れた。するとすかさず、マルティン・シュミット監督からは「ヨッチ! もっと速く! ここだ!」という大声の指示が飛んだ。
 
 チーム全体での連動した守備が生命線のマインツにとって、FWは第一DFとして大事な役割を担う。ここで、しっかりと相手の起点作りを潰さなければならない。すべきことを理解した武藤はその後、的確な動きで対応していた。

次ページ課題と手ごたえを得たモナコ戦。ここまでの道のりは順調だ!

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