森保ジャパン、アジア最終予選は序盤2敗も辛酸を舐めた東京五輪世代が台頭! 本大会へ向けて光明は?

2022年01月15日 元川悦子

W杯最終予選再開へ――森保ジャパンの3年半を振り返る【後編】

東京五輪ではいまひとつ爆発しきれなかった三笘だが、最終予選のオマーン戦では日本を救うゴールをアシストした。(C) REUTERS/AFLO

 2021年7月下旬~8月上旬にかけて開催された東京五輪。直前のホンジュラス戦を3-1で勝利し、優勝候補筆頭と言われたスペイン代表にも1-1で引き分けるなど、上昇気流に乗っていた森保一監督率いるU-24日本代表には金メダルの期待が寄せられた。
 
 グループリーグでは、南アフリカ、メキシコ、フランスに3連勝。大会序盤の足取りからすれば、メダルの可能性は少なからずあるように映った。エース久保建英(マジョルカ)が決めるべきところで決め、吉田麻也(サンプドリア)が統率する守備陣も安定。左サイドで相馬勇紀(名古屋)と旗手怜央(セルティック)を併用し、前田大然(セルティック)らをジョーカーで送り出すという指揮官の采配もズバリ的中。3戦全勝で1位通過するという理想的な展開で決勝トーナメントに勝ち上がった。

 しかしながら、森保監督は「主力固定起用」の傾向が強く、吉田、遠藤航(シュツットガルト)、酒井宏樹(浦和)、田中碧(デュッセルドルフ)、久保、堂安律(PSV)といった攻守の柱となる選手たちを固定。酷暑の中1日ペースの超過密日程のなか、彼らをスタメンで使い続けた。それで準々決勝・ニュージーランド戦をPK戦で制したところまではよかったが、準決勝・スペイン戦が鬼門だった。

 主導権を握られながら、なんとか延長まで持ち込んだが、最後の最後に総合力の差が出た。スペインはベンチにマルコ・アセンシオ(レアル・マドリー)を温存し、延長後半に生まれた彼の一撃で勝利。日本は選手層の薄さを露呈する。3位決定戦でも集中力が途切れたようなプレーが目立ち、メキシコに完敗。2012年ロンドン五輪の経験から「オリンピアンとメダリストは全く違う」と言い続けた吉田の叫びも及ばなかった。2チーム分の戦力を整えなければ、短期決戦で頂点に立つのは難しい。大一番になって柔軟性を欠いた森保監督の采配含め、日本はまたも世界の壁にぶち当たることになった。
 

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