隣にいた実況もたまげたミドル弾でチームを救った奥川雅也。指揮官に評価を訊いた「マサヤはゴールへの道を賢く見つけられるんだ」【現地発】

2022年01月10日 中野吉之伴

「オクガワのすげぇシュートが突き刺さった!」

反撃の狼煙を上げる一撃を叩き込んだ奥川。(C)Getty Images

 3週間の休みを経てブンデスリーガが再開された。

 奥川雅也が所属するビーレフェルトはアウェーで3位のフライブルクと対戦。2点をリードされる苦しい展開だったが、60分に奥川の得点で1点を返すと、試合終了間際の88分には途中出場のFWブリアン・ラズミが同点ゴール。難敵から貴重な勝点1を持ち帰った。3試合連続ゴールの奥川はこれが今シーズン6点目で、得点ランキングの12位タイにつけている。

 その数字以上に一つひとつのゴールが持つ価値がとても大きい。このフライブルク戦も後半途中までは大差で負けていてもおかしくない試合展開だったが、奥川のゴールで息を吹き返したのだ。

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「ツーオルドヌング!(守備組織をしっかり!)」

 コーチングゾーンからフランク・クラマー監督の大声が閑散としたスタジアムに響いていく。だがそれも効果をもたらさない。6分、CKのこぼれ球をヤニック・ハーバラーが右足ダイレクトボレーでゴール。後半開始直後の46分には、左サイドをあっさりと崩され、チョン・ウヨンのヘディングゴールで2失点目。その後もいい形でボールを奪えず、ボールを持っても効果的な攻撃ができない。

「前半にセットプレーから失点するなど、いい感じではなかった」と試合後にクラマーが認めたように、相手の多彩な攻撃に振り回されていた。

 そんな得点の気配など何もなかった60分、突如として奥川が重く閉ざされていた扉をこじ開けた。左サイドで味方とのパス交換でボールを受けると、相手の対処が一瞬遅れた瞬間を見逃さず、右足を一閃。鋭いシュートが敵GKベンヤミン・ウプホフを打ち破った。ちょうどこのシーンを真後ろの記者席から見ていたが、ゴールを飛び越えていきそうだったボールが急激に落ちてゴール右隅へ沈んでいったのだ。

 隣でビーレフェルト向けのラジオ実況をしていたDJは、大きなガッツポーズとともに、「オクガワのすげぇシュートが突き刺さった!これで試合はわからなくなった」と絶叫していた。

 このゴールで奥川の動きがさらに良くなる。相手ペナルティエリア付近でボールを受けて、次々にチャンスにからんでいく。72分にエリア内でパスを受けると、鋭く中に持ち込んでシュート。終了間際にも相手をかわして狙うも、残念ながらどちらも枠を捉えられなかった。

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