「想定をはるかに超えていた」J内定4人を擁す静岡学園を相手に、関東一はいかにして番狂わせを起こしたのか【選手権・準々決勝】

2022年01月04日 江國 森(サッカーダイジェストWeb編集部)

「どこから手をつけていいのか分からなかった」

試合終了間際の後半40分に値千金の同点ゴールを決めた坂井(右)。写真:塚本凛平

[高校選手権・準々決勝]関東一1(4PK3)1静岡学園/1月4日(火)/フクダ電子アリーナ

 関東一(東京B)の快進撃が止まらない。3回戦にも進んだことがなかったチームが、尚志、矢板中央という常連校を連破したのに続き、Jリーグ内定者4人を擁す優勝候補の静岡学園を相手に番狂わせを演じ、ベスト4進出を果たした。

 この日は攻撃陣が好調の静岡学園に押し込まれる時間が続き、サイドを崩されて次々にクロスを送り込まれるも、最後の局面で何とか凌ぐ。

 後半20分に先制ゴールを奪われた後も、我慢して追加点を許さない。迎えた、試合終了間際の後半40分、左サイドからMF日下空が送り込んだグラウンダーのクロスをFW坂井航太がねじ込み、劇的な同点弾。土壇場で追いついてみせた。

 勢いそのままに、1‐1で突入したPK戦では、静岡学園の2、3人目が失敗したのに対して4人が成功。4‐3で勝利し、見事にアップセットを完遂させた。

 初めての準々決勝を戦った関東一は、ここまで3試合で14得点・無失点の静岡学園をいかにして打ち破ったのか。

【動画】キレキレのフェイントに相手選手も脱帽!静学の10番・古川陽介が決めた鮮烈弾
「隙がなく、(試合前の対策も)どこから手をつけていいのか分からなかった」という小野貴裕監督は、それでも入念に策を練ってきた。まず、システムをこれまでの3‐4‐3から4‐4‐2に変更。その狙いについてはこう明かしている。

「(静岡学園は)フォワードだけでなく、両サイドがフィニッシャーになることが多いのは、戦前のデータで分かっていた。逆サイドの選手がフリーになるのを阻止したかった。3バックだと、(逆サイドの選手に)センターバックがつくのか、ウイングバックがつくのか、はっきりしなくなる」

 実際、8ゴールを奪った3回戦の宮崎日大戦で、静岡学園は左サイドで敵を引き付けて、右サイドハーフの川谷凪がフリーになるケースが頻繁にあり、清水エスパルス入団内定の川谷がこのパターンから2ゴールを奪っていた。

 この関東一の狙いは見事にはまった。クロスは何本も上げられたものの、中央だけでなく逆サイドのマークも怠らなかったことで、1ゴールに凌いでみせた。

 小野監督は交代策も的中させている。59分に切り札の坂井、73分に「推進力を期待していた」というMF日下を相次いで投入。この途中出場コンビの連係で、劇的な同点弾を奪ってみせた。

「想定をはるかに超える素晴らしいサッカーだった」(小野監督)という静岡学園の猛攻に耐え、シュート数は2本対18本ながら、そのうち1本を沈めてPK戦に持ち込んだ戦いぶりは、まさに「してやったり」だった。

 もう勢いだけではない。指揮官の立てたプランを見事に遂行した選手たちには、全国4強に相応しい地力が備わってきている。

取材・文●江國 森(サッカーダイジェストWeb編集部)

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