静学、チーム史上大会最多の8発を演出した陰の立役者たち。指揮官も「我々にとって重要なポジション」と語るのは?【選手権3回戦】

2022年01月02日 安藤隆人

前半だけで6得点。ゴールラッシュに貢献した「必ずひとりは剥がせるサイドバック」

静岡学園のゴールラッシュを巧みなドリブルワークで演出した西村。写真:徳原隆元

[高校選手権3回戦]静岡学園8-0宮崎日大/1月2日(日)/フクダ電子アリーナ

 快進撃を続ける静岡学園。磐田内定の左MF古川陽介(3年)と清水内定の右MF川谷凪(3年)の両ワイド、徳島内定のボランチ玄理吾(3年)を中心としたアタッカー陣に多くの注目が集まっているが、彼らの攻撃力を後ろから支えるだけでなく、絶妙なハーモニーで攻撃に厚みを加えているのが両サイドバックの存在だ。
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 左サイドバックの野村海翔(3年)、右サイドバックの西村湧志(3年)はともに『必ず1人は剥がせる賢いサイドバック』だ。

 静学仕込みのテクニックはありとあらゆる場面で発揮される。GKからビルドアップを始める静学にとって、両サイドバックの彼らは常にボランチポジションと、両ワイドのインナーのスペースを線で繋げるためにポジションを取る。そのため、ただサイドに開くのではなく、もう1列前の中よりのポジションで受けようとするし、受けても次の展開が頭に描けているため、素早くターンをしてボールを前に展開していく。

 GKからビルドアップをしてくるチームは多いが、両サイドバックがここまでインナーのスペースで苦もなくボールを受けることができて、しかもプレスに来た相手を自力で剥がせ、プレスに来なければ自分で仕掛けて剥がしていくというチームは決して多くはない。

 この試合、静岡学園の両サイドバックが大きく躍動した。開始早々の2分に野村が左サイドを突破して上げたクロスをファーサイドに飛び込んだ川谷がダイレクトボレー。これはバーを叩いたが、「2分で決定的なシュートを打てて、そこから勢いが増した」と今大会初スタメンの川谷が語ったように、野村がビッグチャンスを演出したことで、川谷だけではなくチーム全体が勢いに乗った。

 ほどなくして前半9分に川谷が先制弾を叩き込むと、同12分には今度は西村が右サイドからドリブルで2人をかわしてペナルティエリア中央のFW松永颯汰(3年)にスルーパス。これを松永が冷静に流し込んで2点目を挙げた。

 前半14分には野村が左サイドを鮮やかな突破から川谷にピンポイントクロスを送ると、同22分には背後から来たボールを右足ヒールで超絶トラップを見せて、そのまま左サイドを切り裂くなど、随所に技術を見せつけた。

 前半32分の古川のドリブル3人抜きからのゴールも、ボールを持った古川に対して、野村が左斜め前のポジションで並走をし続けたことによって、DFが野村に気を取られた瞬間に古川が逆を取って仕掛けたことで生まれたものだった。
 

次ページ1試合8点は、選手権でのチーム史上最多得点。2回戦で停滞していた攻撃に連動性も

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