【W杯本大会|日本のスタメン11人を占う】強豪相手に勝機を見出すなら5-2-3。3バックには冨安、板倉、中谷を推したい

2021年12月28日 西部謙司

GKはビルドアップ能力がないと厳しいので谷を抜擢

西部氏が選出したカタールW杯本大会を想定したメンバー。

 2022年11月21日に開幕するカタール・ワールドカップ。その時、世界の舞台でベスト8以上を目指す森保ジャパンのスタメンはどんな顔ぶれとなるか。まだアジア最終予選を突破したわけではないが、本大会を約1年後に控えたこのタイミングで、"理想の11人"について識者に見解をうかがった。
文●西部謙司(スポーツライター)

――◆――◆――
【PHOTO】1月のウズベキスタン戦に臨む日本代表招集メンバー22名
 システムは5-2-3にした。グループリーグの少なくとも1か国は強豪国と対戦しなければならず、ノックアウト・ラウンドでも強豪国と当たる可能性は高い。日本がボールを支配する展開にはなりにくく、ハイプレスしても相手によってはボールを奪えず逆にカウンターされてしまうリスクが高くなる。ある程度引き込んで守るゲームを想定するなら、5バックしか選択肢はない。EUROでも強豪国と対戦する中堅以下のチームはほとんどが5バックだった。

 ロシア・ワールドカップ(W杯)では4-2-3-1でグループリーグを突破したが、日本は前半早々に10人になっていたコロンビアに勝っただけで、セネガルには劣勢の流れからドロー、ポーランドは最後のところで駆け引きになったので正当な評価は難しいが結果は負けている。ラウンド16ではベルギーに逆転負けだった。優勢で勝てた試合はコロンビア戦だけなのだ。

 MFとFWの構成は2-3と3-2が考えられるが、ボランチ2枚と1トップ+2シャドーのほうが守備の分担が明確なので混乱が少なく、前線3人の自由度もある。ボランチ以外は基本的に担当レーンの上下動なので馴染むのに時間もかからない。

 GKはビルドアップ能力がないと難しいので谷晃生とした。自陣に引きっぱなしではいずれ失点してしまう。ゴールキックからビルドアップして敵陣に運べないと試合の流れを変えられない。ロシアW杯のベルギー戦がそうだった。GKの足下の技術は必須で、それがなければ自陣で数的優位を作れないので、引くことを前提とした場合に死活問題になる。

 3バックは速さがないとカウンター対応が厳しいのでスピードを重視。守備を固めていれば、相手が強豪国でも簡単に失点はしない。危ないのは自陣でのミスと日本が攻め込んだ後のカウンターアタックである。中谷進之介、冨安健洋、板倉滉の3人はカウンターを寸断する速さとタックルの上手さがある。ラインコントロールも非常に重要で、遅いDFが1人でもいるとズルズル引くことになってしまう。ある程度は強気でラインを止めて対処しないと守り切れない。3人とも速いことが条件になる。

 冨安と板倉はビルドアップ能力が高いので3バックの両脇に配置する。3バックのセンターではなく、両脇がビルドアップでの持ち上がりや前方へのパスでキーマンになるからだ。3バックのバックアップはボランチも兼任できる谷口彰悟とする。
 

次ページ終盤は古橋と前田の2トップでカウンター狙いも

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事