【2021年の日本人選手ベスト11】古橋&前田は文句の付けようのない輝き。CB冨安の相棒は谷口でも板倉でもなく…

2021年12月21日 河治良幸

ライターが選ぶ、2021年の日本人選手11 Vol.4|欧州組からは三笘ら6人をセレクト

河治氏が選出した2021年の日本人選手ベストイレブン。

 2021年の日本サッカー界で顕著な活躍あるいは急成長を見せた選手は誰か? ここでは日本サッカーに精通する識者に、今年一年のパフォーマンスを踏まえ、"日本人選手"の中からベストイレブンとMVPを選出していただいた。国内外のサッカーに精通する河治良幸氏が選んだ顔ぶれは――。

――◆――◆――
 
 海外とJリーグの単純比較は難しいが、それぞれのステージでのインパクト、貢献度、話題性といったところを総合評価した。欧州組からは古橋亨梧(セルティック)、三笘薫(ユニオンSG)、伊東純也(ヘンク)、遠藤航、伊藤洋輝(ともにシュツットガルト)、冨安健洋(アーセナル)の6人を選んだ。ただし、古橋と三笘、そして遠藤も所属するドイツのシュツットガルトでブレイク中の伊藤はJリーグ時代の評価も含まれている。

 Jリーグからは名古屋を中盤から牽引し、劇的なゴールでルヴァンカップ優勝の立役者となった稲垣祥、圧倒的な強さでリーグ二連覇の川崎から右サイドバックでフル稼働、A代表にも定着した山根視来、左サイドのハンドルとしてクレバーな活躍を見せた登里亨平を選んだ。GK東口順昭は"東神(ひがしん)"にふさわしい獅子奮迅の活躍で、低迷のG大阪を残留に導いた。

 改めてポジション別に見ていくと、GKに関して東口の奮闘は言うでもないが、浦和で東京五輪代表の鈴木彩艶と1つのポジションを争いながら、35歳にして成長まで感じさせた西川周作も印象的だった。また日本代表には招集されていないが、ベルギーのシント=トロイデンでゴールマウスをしっかり守っているシュミット・ダニエルも高評価に値することを付記しておきたい。

 右サイドバックは山根が1つ抜けた存在か。左は登里、抜群の安定感だった吉田豊(名古屋)、中盤とのマルチロールでブレイクした旗手怜央(川崎)で迷ったが、このポジションでの安定感とリーグタイトル獲得を支えた貢献度を総合評価して登里にした。

 サイドバックは日本代表の酒井宏樹(浦和)と長友佑都(FC東京)、さらに安西幸輝(鹿島)がJリーグに復帰してきた状況もあり、欧州組の層が薄くなっているという実情もある。そうしたなかで室屋成(ハノーファー)はドイツ2部ながらしっかりとポジションを掴んでいるが、代表で酒井、山根を上回れていない実情がある。橋岡大樹(シント=トロイデン)や菅原由勢(AZ)もベスト11に推すためにはもっと飛躍に期待したい。

 センターバックはセリエAのボローニャからアーセナルに移籍し、瞬く間にブレイクした冨安の選出に疑いの余地はないだろう。アーセナルでは右サイドバックがメインになっているが、本職はあくまでセンターバックということで、日本代表の最終予選での挽回も評価してセンターバックにした。

 もう一人は川崎のキャプテンで代表にも選ばれた谷口彰悟、昨季フローニンヘンでフル出場し、新天地のシャルケで躍動している板倉滉もベスト11に値する活躍だったが、インパクトという意味では伊藤を挙げないわけにはいかない。

 今年前半は磐田で3バックの左、有事には元々の本職だったボランチでも攻守に存在感を示した。そこからドイツに渡り、シュツットガルトでU-23からアピールしてトップチームに定着すると、最終ラインのスタメンまで勝ち取ってしまった。1対1の強さに加えて展開力が素晴らしく、早期のA代表入りが待たれる一人だろう。
 

次ページ右サイドの伊東、左サイドの三笘は外せない

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事