天皇杯決勝をプロ分析官が徹底展望!4度目の戴冠を目指す浦和と片野坂政権の集大成となる大分。それぞれの思惑は――

2021年12月18日 サッカーダイジェストWeb編集部

分析官が予想する両チームの布陣は?

杉崎氏が予想した天皇杯・決勝のフォーメーション。

 今年度最後の国内タイトル、天皇杯決勝が12月19日に国立競技場で行なわれる。101回大会のファイナリストは、2015年、優勝した2018年に続き、3年周期で決勝の舞台に上がった浦和レッズと、クラブ初の大一番に臨む大分トリニータだ。

『サッカーダイジェストWeb』では、Jリーグの各クラブでスカウティング担当を歴任し、2017年には横浜F・マリノスで天皇杯決勝の舞台も経験し、2019年にはチームや対戦相手を分析するアナリストとして、リーグ優勝にも貢献した杉崎健氏に、天皇杯・決勝の勝負のポイントを伺った。

 確かな分析眼を持つプロアナリストは、注目の一戦をどう見るのか。予想布陣の解説とともに、試合展開を4つの状況に分け、それぞれの見どころを語ってもらった。

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 浦和はACL出場権獲得のためにもモチベーションが高いのは間違いないでしょう。リーグ戦の最後の2試合(37節・清水戦は0-1。38節・名古屋戦は0-0)では無得点でしたが、準決勝のセレッソ大阪戦は2-0で勝利。守備で大崩れすることがなくなり、直近の試合で得点を奪えていることで、チーム状態は悪くなさそうです。怪我人もリリースされているものはありません。

 一方の大分は、初めての決勝。ここまで勝ち上がってきたこと自体に価値があり、当たって砕けろ、ではないですが、思い切ったサッカーができるのではないでしょうか。準決勝の川崎フロンターレ戦では、かなり攻め込まれたなかでも、GK高木駿の活躍もあって死闘を乗り越えました。J2に降格してしまいますが、退任が発表されている片野坂知宏監督の下、集大成の一戦になりそうです。
 
【予想布陣解説】
 浦和は準決勝の時と同じようなメンバーを想定しました。守備陣では、西川周作選手、酒井宏樹選手、岩波拓也選手、アレクサンダー・ショルツ選手は不動。左サイドバックには明本考浩選手を予想しましたが、宇賀神友弥選手や山中亮輔選手もあり得ます。伊藤敦樹選手と柴戸海選手のダブルボランチも、平野佑一選手のほか、金子大毅選手や阿部勇樹選手もいる。右の関根貴大選手のところは、古巣戦となる田中達也選手が控えている。左は汰木康也選手としています。

 前線の2トップもキャスパー・ユンカー選手と江坂任選手を予想していますが、小泉佳穂選手を起用してトップ下に入れる形もある。いろんな選択肢があるのが今季の浦和だと思います。

 一方で大分は違った意味で変化がありそうです。前所属チームで出場していた、呉屋大翔選手、増山朝陽選手、野嶽惇也選手、梅崎司選手がレギュレーションの関係で起用できず、やり繰りの難しさがあるでしょう。

 準決勝では中盤をダイヤモンド型の4-4-2に変えていましたが、川崎の4-3-3に対応するためという意味合いも強いと考え、決勝は慣れ親しんできた3-4-2-1を予想しました。シーズン後の退任が発表されている片野坂監督の最終戦ということもあって、シーズン中に多用していたシステムに戻す可能性を想定しています。
 

次ページ浦和の自陣からの攻撃vs大分の敵陣での守備

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