シャビ就任の上げ潮ムードが一瞬で砕け散ったバルサ。番記者が指摘する根深い課題とは?「まだ顕著な効果は何も見られず」【現地発】

2021年12月11日 エル・パイス紙

シャビが掲げるのはクライフがデザインしたサッカー

バイエルン戦後には厳しい言葉を発したシャビ。(C)Getty Images

 バルセロナの転落が止まらない。チャンピオンズ・リーグでバイエルン・ミュンヘンに敗れ(0‐3)、グループステージ敗退が決定した後、シャビ監督は「ターニングポイントにしなければならない」と強調したが、これが底打ちだという保証はどこにもない。

 ジョゼップ・マリア・バルトメウ政権による乱脈経営がチームの弱体化を招いた。その結果、高齢化が進む主力の脅威となれる存在はラ・マシア育ちの一握りの若手しか見当たらず、ベテラン連中は安穏とスタメンに居座り続けている。

 今回の早期敗退においてシャビとて"無傷"ではない。バイエルンとはどう足掻いても埋められない力の差があるが、だからこそホームにベンフィカを迎えた前節の試合がスコアレスドローに終わったのは痛恨だった。

 采配についても就任から1か月が経過し、試合を指揮したが、前向きな発言がファンに希望をもたらした以外は、まだ顕著な効果は見られない。シャビが掲げるのは、ヨハン・クライフがデザインしたサッカーであるのは周知の通り。問題は、それが消耗しきった現在のチームにフィットしたスタイルであるかという点だ。

 すでにもろ手を挙げて受け入れられたシャビの強い意思表示とともに生まれたチームの上げ潮ムードは、ベティス戦の敗戦でしぼみ、バイエルン戦の惨敗で砕け散ってしまった。

【動画】まさかのCL敗退!バルサが粉砕されたバイエルンのハイライト
 むろん1人の監督の手に負える問題でないのも事実だ。今シーズンのバルサは欧州の強豪は言うに及ばず、中堅クラスのチームが相手でも苦戦が続いている。右サイドバックはレギュラーを任せられる人材が見当たらず、左サイドバックのジョルディ・アルバは故障続き。CFが不在で、得点することはもちろん、シュートすることすらままならない。

 ウスマンヌ・デンベレにキリアン・エムバペを上回る活躍を期待するのは無責任な態度だ。このような惨状では、アンス・ファティが戦列に復帰しても、多くを望むことはできない。

 そんな中、クーマン時代と一つ違うのは、シャビ・バルサには伸びしろを期待できるという点だ。ただジョゼップ・グアルディオラと比較するのは、もうやめたほうがいい。当時のチームとでは選手のクオリティに大きな差があるし、クラブの経営も今よりはるかに安定し、補強費にも回すことができた。今はとにかくシャビにすべてを託し、カンテラ上がりの若手の成長を待つ以外にない。

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