なぜ大卒ルーキーは活躍できるのか? 元Jリーガーで現役監督の林陵平がズバリ回答!注目する現役大学生プレーヤーは…

2021年12月01日 サッカーダイジェストWeb編集部

大学の4年間で人間的な部分が大きく成長できた

アジア最終予選のオマーン戦で後半頭から投入され、眩い輝きを放った三笘。(C)JFA

 昨今、即戦力として注目を集める大卒ルーキー。近年の顕著な成功例として挙げられるのが三笘薫だが、日本代表でも先のオマーン戦では抜群の存在感を見せている。

 2022年シーズンに向けても法政大からは川崎フロンターレに内定したMF松井蓮之ら8人、流通経済大からは浦和レッズに内定しているMF宮本優太ら7人など、来季も多くの大卒ルーキーたちがJリーガーの仲間入りを果たす。

 そんな大卒ルーキーたちはなぜ即戦力として活躍できるのか?自身もヴェルティユースから明治大を経てプロの道に進み、現在は東京大学運動会ア式蹴球部の監督を務める林陵平氏に話を聞いた。

 大学とプロを知り尽くした林氏の見解は……。

――◆――◆――

 高校を卒業してからの大学4年間は長いようで短い。僕の体験でも人間的に大きく成長できた期間でした。

 プロに行ったらどうしてもサッカーだけの生活になります。その前に文武両道というか、勉強もしながら、大学サッカーを通して、人間的な成長ができる。礼儀やコミュニケーション能力、先輩との関わり方、そういうことを通して、人間的な成長ができて、それがサッカーにも繋がった。

 僕がヴェルディから明治大に行った時も1年から試合に出られるだろうと、甘い考えも持っていましたが、今の大学サッカーはレベルも上がってきて、特に関東1部だとほぼ推薦ばかり。同じ学年でも全員がライバルで、さらに1年と4年では体格差もあって、入ったばかりの頃は4年生がとても大人に見える。

 少数精鋭のユースとは違い、レギュラー争いに勝って試合に出るということも競争が激しいので、そういう部分も通して、葛藤し、自分の頭で考えながら、『何をしなければいけないのか』と考えながらトレーニングに臨むことによって、すごく成長できました。
 
 フィジカルの成長も間違いなくありますね。僕は12年間プロ生活をしていましたが、実体験でいえば、ヴェルディユースからそのままプロに上がっていたら、間違いなくそこまでできなかった。そのままプロに行っていたら3年くらいでクビになっていたと思います。

 誰でも成長できるわけではありませんが、大学に入ってからは基本自由なので、『自分が本当にプロになりたい』という根底の部分がしっかりとあれば、自分で1年生の頃からしっかりと考えてやっていける時間も取れます。

 もちろん、いろんな誘惑もあると思う。人によっては、ほかの事に目がいってしまってサッカーに集中できていないとか、能力はあるのにちょっと試合に出れないからと腐っちゃって消えていく選手もいる。ただ、それはどのカテゴリーに属していても同じで、結局は自分次第。自分がどういうメンタリティでやれるかが大事なのは変わりません。
 

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