「どこか背負っていたものを下ろせたと思う」なでしこ復帰、浦和MF猶本光が抱いていた心の葛藤とは?

2021年11月24日 佐藤亮太

池田新監督が求める献身性と縦への推進力は猶本のプレースタイルに合致

浦和ではトップ下として持ち前の推進力を発揮する猶本。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 今月19 日、なでしこジャパン池田太監督就任後、初の海外遠征メンバーが発表された。海外組が加わるなか、三菱重工浦和レッズレディース(以下・浦和)MF猶本光の名があった。

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 高倉麻子前監督のもと、猶本は今年3月の代表候補合宿以来、呼ばれず、東京五輪の代表選考から外れた。しかし池田監督就任後、先月の代表候補合宿に続いての招集となった。

 なぜ代表復帰できたのか。

 池田監督は選考要件として、所属チームでの活躍、そしていかに献身的にプレーできるかを挙げた。それとともに、ゴールに向かい、ボールを奪いにいく縦への推進力が求められている。その点で猶本のプレースタイルが合致しているからだ。

 理由はここ1年半の猶本のプレーにある。

 これまでボールを捌くイメージが強かったが、昨年1月、浦和復帰後、トップ下で起用されてからプレースタイルが大きく変わった。従来の豊富な運動量をベースにドリブル、シュートの数が増え、同時に質も向上。攻守両面でよりアグレッシブさが増した。

 ただ最初からうまくいったわけではなかった。

 猶本曰く、昨季は試行錯誤の連続。しかしその甲斐あって、今季は「できるプレー幅が広がり、多くの選択肢を持ってプレーできるようになった」と手応えを語った。


 さらに池田監督は就任前から足しげく試合会場を訪れていた。

 その際、意識したのは「ボールが来る前の準備のプレー。良い準備ができているか。認知と判断を見ていた」と明かした。

 正しい判断による正しいプレー。その前提となる準備。猶本が招集される素地が備わっていると判断された。

 一方で、猶本自身の心に揺らぎがあったようだ。

 それはプレーを見て感じられた。今年3月に開幕したプレシーズンマッチ(以下PSM)で、猶本はどこか抑えてプレーしていたように感じた。しかし東京五輪を経て、9月に開幕したWEリーグが始まると、のびのびと自由闊達なプレーとなった。

 この変化は何か。
「ケガが治ったことが一番大きい」と話すのが浦和・楠瀬直木監督。

 プレシーズンマッチ開幕マイナビ仙台戦での右足負傷の影響か、しばらく状態が良くなかったようだ。
 

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