「玖生に聞いても意味がない」青森山田の町田内定ボランチは、なぜU-23アジア杯予選に飛び級招集された同僚の話を聞かなかったのか?

2021年11月18日 松尾祐希

U-18日本代表の合宿では「町田の選手としてプレーする」という自覚が生まれた

青森山田の中盤の底を担うMF宇野。松木とのダブルボランチで中盤を支える。写真:松尾祐希

 いかなる状況でも冷静さを失わない。攻撃に参加したい場面でもグッと堪え、中盤の底でリスク管理を徹底する。プレーに華やかさはないかもしれない。青森山田を支えるMF宇野禅斗(3年)は、球際の強さや的確なポジショニングでチームのために汗をかいてきた。
 
 プレーぶりを一言で現わすなら、まさに"職人"。それは代表のユニホームに袖を通しても変わらない。U-18日本代表の一員として臨んだ11月17日の横浜F・マリノス戦。「青森山田の選手であると同時に、町田の選手でもある。その自覚が出てきた。そういう意味で今回の代表では『町田の選手としてプレーする』という心持ちがあり、良いメンタルで取り組めた」。宇野にとって、11月上旬に来季の町田入りが決まってから初の代表活動。"プロサッカー選手"としての自覚と責任が生まれた中で、ダブルボランチの一角で与えられた役割を全うした。

 チームのスケジュールなどを考慮した影響で、出場は後半終盤の15分弱。それでも中盤でスペースを埋めながらボールを回収し、チームに落ち着きを与えた。また、課題としていた攻撃面でも丁寧にパスを繋ぎ、ゲームをコントロール。代表活動を通じて成長を見せ、新たな可能性を示したのは間違いない。

 自身も手応えを得ており、今合宿を通じて収穫があったと話す。

「青森山田には青森山田のサッカーがある。ただ、今後は代表や町田で、ボールを動かすサッカーにもトライしないといけない。まだまだ戦術理解やアイデアは未熟だけど、周りの選手を使うプレーは今合宿で学べた」

 いつもと違う環境で思うようなプレーができない選手も少なくないが、普段通りのパフォーマンスを発揮した宇野。そうした働きを見せた背景には、常に"ブレない"メンタリティがある。

 10月下旬に開催されたU-23アジア選手権予選にチームメイトのMF松木玖生(3年/FC東京入団内定)が飛び級で招集された。しかし、宇野は積極的に関心を示すことはなく、松木から代表での話を一切聞かなかったという。

「玖生に聞いても意味がない。自分で感じた経験しか信用していないし、それが自分のためになる。だから聞かなかった」
 

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