【セルジオ越後】オマーン戦のヒーローは間違いなく三笘! 柴崎は田中にレギュラーを奪われたけど…

2021年11月17日 サッカーダイジェストWeb編集部

なぜ日本に三笘のようなドリブラーがなかなか育ってこないのか?

果敢な仕掛けから伊東の先制点をアシストした三笘。後半頭から投入され、劇的に流れを変えた。写真:JFA提供

 日本がワールドカップ・アジア最終予選で3連勝を飾ったね。オマーンを相手にリベンジはしたものの、またもや1-0の1点差勝ち。引き分けになっていてもおかしくなかっただけに、なんとか2位に浮上して、やれやれ年も越せるという感じだね。

 前半の日本はオマーンのカウンター戦術にしっかりと嵌められてしまっていた。足もとのパスばかりでサイド攻撃でスピードに乗れない。頼みの伊東は研究されてスペースを与えてもらえなかったし、左からの攻めも機能しない。その結果、横パス、バックパスばかりが増えて展開がワンパターンになってしまった。

 このリズムを変えたのが紛れもなくA代表デビューの三笘だった。後半が始まって数分で、2、3回凄いドリブルを見せたら、もうオマーンの選手たちは左のほうに引っ張られちゃった。それで右の伊東が空き出して、オマーンの守備に穴が生まれて先制点につながっていったんだ。この試合のヒーローは間違いなく三笘だ。
 
 結局、パスをつなぐだけのサッカーは研究されたら通用しないのは分かっているのに、また同じサッカーをやって苦戦を招いている。幸い伊東というスピードスターがいて、なんとかチャンスはできていたし、ベトナム戦では得点も取ってくれていたけど、選手の特長がチームのガチガチに固められた戦術の中に埋没してしまっているんだよ。

 引いた相手にドリブルで仕掛けて崩せる選手がいればどれだけ効果的か。三笘が改めてそれを証明してくれたけど、逆に言えばなぜ日本にドリブラーが育ってこないのかもよく分かったよ。三笘のような選手を使わないからだ。さらに言えば、先発で使わないから。先発というのはステータス。ドリブラーにステータスを与えないから、いつまで経っても優秀なドリブラーが日本に出てこないんだ。

 もちろん、かつては日本にも凄いドリブラーがいたよ。例えば、今でもパッと思い浮かぶのはアントラーズにいた本山やフリューゲルスの前園。本山はA代表ではインパクトを残せなかったけど、3連覇した当時のアントラーズでは誰も彼を止められなかった。前園も高卒でプロに入ってすぐに頭角を現わして活躍したね。

 でも今では、三笘のような選手はなかなか見ない。彼だって高卒ではプロになれず、大卒でプロに入っている。それはなぜかというと、ドリブルよりもパスを出せたり、守れたりするほうにばかり目が向いているから。それができないと、ドリブルがめちゃくちゃ凄くても試合では使われないんだ。選手の特長を生かすのが監督やGMの仕事だと思うんだけどね。チームの戦術に個性を埋もれさせてはもったいないよ。
 

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