【連載】ミラン番記者の現地発・本田圭佑「熾烈なトップ下のポジション争い……本田と5人のライバルたち」

2015年07月08日 マルコ・パソット

敵はボナベントゥーラだけのはずが…1週間で状況は激変した。

すでに始動しているミラン。ミハイロビッチ新監督のお眼鏡にかなう選手は誰だ!? (C) Alberto LINGRIA

 4人、いや、たぶん5人……もしかしたら6人が、ひとつのポジションを巡って争うことになるかも知れない。
 
 ターゲットは、ミランのトップ下である。
 
 イタリア、そして欧州のトップへ返り咲きを目指すチームとしては、各ポジションに何人もの選手がいるのはごく当たり前のことだ。しかし、これほど多くのライバルがいると、毎試合、熾烈すぎるポジション争いが起こる危険性がある。
 
 新生ミランのシステムが4-3-1-2であることは、本来ならば本田圭佑にとって朗報であるはずだが、これにはネガティブな面もある。正直、今のままのフォーメーションでは、彼がレギュラー入りすることはかなり難しい……。
 
 もちろん、今後、状況がどう変わっていくかは分からない。1年前も、本田は今とほぼ同じ状況に置かれていた。しかし、彼は持ち前の誠実さとピッチでの働きで、全ての監督から信頼を勝ち取ってきた。今回も、同じことが起こらないとは言えない。
 
 本田の最も危険なライバル、現段階でトップ下のレギュラーと考えられているのは、ジャコモ・ボナベントゥーラだ。彼はどのポジションでも使えるオールマイティーカードで、しかも、何をやらせても良い結果を出している。
 
 昨シーズン、右サイドハーフ、左サイドハーフ、右サイドアタック、左サイドアタック、そしてトップ下(2回ほどだが)と、実に5つの異なるポジションでプレーしたが、どこでプレーしても戦術的センスと信頼性を見せた。
 
 ボナベントゥーラは本田同様、監督なら誰もが自分のチームに持ちたいと思う選手である。集中力があり、頭が良く、よく働き、ピッチの外での振る舞いも完璧だ。そうそう、忘れてならないのは、彼がゴールも挙げられるということだ。昨シーズンは、チーム得点王のジェレミー・メネーズ(16点)に次ぐ、7ゴールを挙げている。
 
 ほんの1か月前なら、新シーズンのトップ下はボナベントゥーラと本田で争うことになっただろう。しかし、ここに来て状況が変わってきた。このポジションに、次々とライバルが現われたのである。
 
 本田にとって2人目の"ライバル"は、アンドレア・ベルトラッチという、ローマから移籍してきたばかりのMFである。
 
 ミランが気前良く2000万ユーロも払って(払い過ぎだという声も多い)獲得したベルトラッチは、優れたテクニックを持ち、オフェンシブなプレーが得意だ。そこで、シニシャ・ミハイロビッチ監督は、彼の名をトップ下候補のリストに加えた。
 
 ちなみにミハイロビッチの考えるトップ下は、昔の背番号10のようにトップの選手の動きを待ってボールを出すだけではない。自分も走って上がり、スペースを作り、チームメイトとポジションチェンジし、積極的に動かなければいけない。そしてベルトラッチは、この全てができる。

次ページ続々と現われるライバル…しかし本田は何も恐れることはない。

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