【セルジオ越後】フロンターレの優勝は文句なし!MVPを挙げるなら…

2021年11月03日 サッカーダイジェスト編集部

”それ”こそが、最後の勝負強さにつながった

連覇を達成したフロンターレは得失点差でも他を圧倒。文句なしの戴冠だった。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 フロンターレが昨季に続き、J1制覇を果たしたね。優勝が決まったレッズ戦(34節/1-1)では勝ち切れなかったけど、4試合を残して見事にシャーレを掲げたのは、素晴らしいよ。

 34節時点でわずか1敗のみで、得点の多さ(71点)も失点の少なさ(22点)もリーグでトップ。他チームと比べて圧倒的な成績を見れば、文句なしだ。

 結局、昨季までに築いたベースがモノを言った格好だね。各チーム、予算が限られて補強が難しい状況でも、フロンターレには、戦力とスタイルともに近年で着実に積み上げてきたものがあった。それこそが、最後の勝負強さにつながったんだ。

 シーズン中盤は本当に苦しかったはずだよ。夏には三笘と田中碧が退団して、大島や谷口などの主力が負傷離脱するアクシデントが頻発もした。ACLでは9月のベスト16で敗退を喫して、リーグ戦でも3試合勝ちなしと調子を落とす時期もあった。その間、勢いを増していたマリノスに勝点差を縮められ、逆転されてもおかしくない状況だった。
 
 それでも、新しく加入したブラジル人のマルシーニョが活躍して、大卒ルーキーの橘田が台頭して三笘と田中の穴を埋めれば、家長や旗手ら残された戦力がよく走り、よく戦った。正直、ここまで持ち直したのには驚いたよ。

 MVPを挙げるならダミアンかチョン・ソンリョンだね。ダミアンの決定力は、チームにとって本当に大きかったよ。勝ち切れなさそうな試合でも、最後にこのストライカーが点を取って勝点を拾っていった。チームが自信を保ち続けるには欠かせない働きだったね。

 そして22点という失点の少なさは、守備陣全体が奮闘した結果でもあるけど、やはり最後尾に安定したGKがいたおかげだ。チョン・ソンリョンが最後は止めてくれるという安心感があるからこそ、DFは大胆な守備ができていたのは間違いない。

 ただ個人的には「フロンターレ強し」という印象を抱いた一方で、「Jリーグ危うし」という感想も持ったよ。

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