【第2ステージ展望】横浜編|俊輔という“ラストピース”がハマり、狙うは優勝

2015年07月04日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

【第1S総括】今ひとつ突き抜けられず、トーンダウンしたまま6位でフィニッシュ。

優勝争いには絡めなかったが、喜田(28番)や三門、ファビオらが出場機会を増やし、成長できたのは好材料だった。写真:サッカーダイジェスト

 J1第1ステージは浦和の無敗優勝で幕を閉じたが、前半戦の17試合を全18チームはいかに戦ったのか?
 
『サッカーダイジェスト』の各チーム担当記者が、6月27日で最終節を迎えた第1ステージを振り返り総括するとともに、第2ステージに向けた各チームの動きと見どころを解説する。

――◆――◆――
 
横浜F・マリノス
第1S成績:6位 勝点:26 7勝5分5敗 21得点・17失点
 
ポイント1)第1ステージの出来を点数で表わすと?

65
 
 川崎に完敗して幕を開けたモンバエルツ新体制は、中村やラフィーニャなど少なくない怪我人を抱え、序盤は不安定な戦いが続いた。10節・名古屋戦からの4連勝を含む6戦無敗で復調の兆しを見せたかに思えたが、16節・鹿島戦で0-3、最終節の神戸戦は1-1と勝ち切れず、トーンダウンしたまま第1ステージを終えた。
 
 ワンタッチプレーを駆使した連動性ある崩しをもって、縦に速いスタイルを追求してきたが、十分に機能しているわけではない。基本システムの4-2-3-1のほか、4-4-2をオプションとし、新たに3-4-3を導入するなど戦術の幅は広がっているものの、結果にリンクできていない。
 
 セットプレーからの失点が少なくないのも、"堅守"を伝統とするクラブとしては大きなマイナスポイントだ。浦和と同じ失点17はリーグで3番目に少ない数字だが、14節・G大阪戦から4試合連続でセットプレーからゴールを許す始末。問題点が明確であるにもかかわらず、それを修正できなかったのはいただけない。
 
 賞金圏内(7位まで)をキープできたのは悪くないとしても、優勝争いに絡めたわけではない。新助っ人アデミウソンは"当たり"だったし、喜田や三門、ファビオら昨季はバックアッパーだった選手たちが出場機会を増やし、成長できたのは好材料だったが、今ひとつ突き抜けられなかった感が強い第1ステージだった。
 
ポイント2)第1ステージのチームMVPは?

アデミウソン
 
 U-21ブラジル代表で10番を背負っていただけの実力は示せた。柔軟なテクニックはもちろん、相手のタイミングを外すワンタッチプレーは絶妙なアクセントとなり、チームに新たなカラーを植え付けた。
 
 守備力にやや不安を抱えるが、トップ下でもCFでもプレーできる汎用性を備え、フィニッシャーとしてもチャンスメーカーとしても機能。ハイライトは13節・松本戦。寄せてくるDFをものともせず、豪快に決めたボレーは圧巻だった。
 
ポイント3)第2ステージでの巻き返しや台頭が期待される選手は?

中村俊輔
 
 2月に左足首を手術して開幕に間に合わず、7節・湘南戦で復帰したと思いきや、今度は右太ももを痛めて戦線離脱……。再復帰は第1ステージ最終節の神戸戦まで待たなければならなかった。
 
 絶対的な司令塔はほとんどチームの力になれなかった。それだけに、第2ステージに懸ける想いは強いはず。誰もが認める国内随一の名手の、いまだ錆びつかない類まれな技術と高度なサッカーセンスはどんな輝きを放つのか――。
 
 思うような結果を出せなかったにせよ、方向性は固まり、形にはなりつつある現編成において、流動的だった4-2-3-1のトップ下を埋める"ラストピース"として、かかる期待は大きい。アデミウソンとの連係も楽しみなところで、ふたつの特別な才能が共鳴した時、横浜の本当の実力が発揮されるはずだ。
 

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