ルヴァン杯ファイナル『名古屋対C大阪』をプロ分析官が徹底展望! 両チームの戦術を細部にわたり深掘り!

2021年10月30日 サッカーダイジェストWeb編集部

お互いに天皇杯・準々決勝から大きくメンバーを変えると予想

杉崎氏が予想したルヴァン杯・決勝のフォーメーション。

 ルヴァンカップ決勝が10月30日に、埼玉スタジアム2002で行なわれる。今年で29回目を迎える今大会のファイナルでは、初優勝を狙う名古屋グランパスと、4年ぶり2度目の大会制覇を目指すセレッソ大阪が火花を散らす。

『サッカーダイジェストWeb』では、Jリーグの各クラブでスカウティング担当を歴任し、2019年には横浜でチームや対戦相手を分析するアナリストとして、リーグ優勝にも貢献した杉崎健氏に、ルヴァン杯・決勝の勝負のポイントを伺った。

 確かな分析眼を持つプロアナリストは、注目の一戦をどう見るのか。予想布陣の解説とともに、試合展開を4つの状況に分け、それぞれの見どころを語ってもらった。

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【予想布陣解説】
 10月27日に行なわれた天皇杯の準々決勝でも相まみえた両者の対決となる今季のルヴァン杯決勝。C大阪の小菊昭雄監督は、過密日程のなかでファイナルへ向けて、天皇杯では一部メンバーを帯同させなかったというような話をしていました。名古屋は天皇杯でC大阪に敗れ(●0-3)、結果が出なかったため、今回はお互いに半分以上メンバーを変えると予想しました。

 名古屋は24日に行なわれた33節・神戸戦のメンバーがベースになると考えています。悩みどころとしては前線のメンバー。天皇杯ではベンチにいながら出場しなかった前田直輝が先発する可能性もありますが、彼がプレーできるポジションのマテウス、柿谷曜一朗、シュヴィルツォクは外せません。また天皇杯でスタメンだった森下龍矢も、中2日では体力的に厳しいと考え、左サイドは相馬勇紀にしています。

 システムは4-2-3-1としていますが、アンカーを置く4-1-4-1や4-3-3、またACLでは5-3-2や5-2-3といったシステムも試していたので、スタートから私が予想した形とは違う配置となる可能性は十分にあります。

 C大阪も、中2日のハードスケジュールのなかで天皇杯と同じメンバーになるのは考えづらく、最終ラインに関しては24日に行なわれたリーグ戦の33節・横浜戦と同じメンバーにしました。

 C大阪で一番予想が難しいのは、リーグ戦で毎試合のように組み合わせが変わるボランチです。奥埜博亮は天皇杯から連戦になりますが、その試合では途中交代でしたし、体力のある選手なので問題ないでしょう。喜田陽は直近の2試合でハイパフォーマンスを見せていますが、大舞台での緊張感を考えると、奥埜とコンビを組むのはベテランの藤田直之であると予想しました。

 さらに、前線の2トップで加藤陸次樹の相方を誰にするのかも難しいところです。アダム・タガートは天皇杯の準々決勝で、松田力もリーグ戦の横浜戦で負傷交代しており、どちらも出場できるか怪しいため、山田寛人を配置しました。ただ、怪我から復帰した豊川雄太が万全の状態であれば、彼の可能性もあるでしょう。また、清武弘嗣は途中出場でゲームのリズムを変えられる選手なので、切り札としてベンチに置いておくと予想しています。

 お互いに過密スケジュールのなか、ここまで様々なコンペティションを戦ってきました。大会ごとにボールも変わるので、ボールフィーリングがうまく合わず、トラップやキックでのミスに繋がることは良くあることです。とくに試合開始5分間の両チームのボールフィーリングに注目してみても面白いのではないでしょうか。
 

次ページ名古屋の自陣からの攻撃vsC大阪の敵陣での守備

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