【バイタルエリアの仕事人】vol.10 小野伸二|天才が期待を寄せる“特殊なドリブラー”三笘薫。「若いときから海外を目指すのは良いこと」

2021年10月30日 手塚集斗(サッカーダイジェストWeb編集部)

札幌は決定力さえ改善できれば、もっと上を目指せるチームになるはず

小野はこれまで培ってきた経験を手に、チームのために走り続ける。写真:塚本凜平(サッカーダイジェスト写真部)

 攻守の重要局面となる「バイタルエリア」で輝く選手たちのサッカー観に迫る連載インタビューシリーズ「バイタルエリアの仕事人」。第10回は、今季約1年半ぶりに北の大地へ帰還した誰もが知る"天才"小野伸二だ。前編では、海外への挑戦やプロを目指す子どもたちに伝えたい価値観、バイタルエリアでの予測について語っているが、後編では札幌に対する思いや今後の自身のビジョンなどを深掘りしていく。

 小野は今年6月9日に行なわれた天皇杯2回戦でゴールを挙げ、同大会の最年長得点記録を41歳255日に更新。いまなお、足もとの高い技術で観客を楽しませるファンタジスタは、これまで培ってきた経験を手に、「できることがある」とチームのために走り続けている。

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 バイタルエリアのスペースを消されてしまった時の対処としては、無理にそこから攻めようとせず、横パスを出すなどの工夫が必要です。もちろん、自分からゴールに直結するパスを出すことが理想ではありますが、角度を作って3人目の動きを使うなど、戦術眼が試されるエリアですね。

 守備側からすると、スペースを埋めるとか、ボール保持者に対して強くいって、選択肢を与えないことがすごく大事。パスを出させない距離感をディフェンスがしてきたら、自分も嫌なので。でも僕自身、ディフェンスの能力に秀でた選手ではないので、守備について語れる立場ではないですけど……。

 札幌もバイタルエリアを使えない時は、3人目の動きも使うことをよくやります。そういった展開から相手のゴールを脅かせるチームなので、バイタルエリアの使い方については得意なチームだと思っています。

 この前の横浜F・マリノス戦(32節/●1-2)は、前半から僕たちも良いものを見せられていて、先制したなかで終盤に逆転されてしまうという非常に悔しい戦いでした。決められるチャンスがあるのに決められないのは非常に残念。ただ、横浜相手にも力を見せられた試合だったので、決定力さえ改善していければ、もっと上を目指せるチームになるはずです。

 今季はここまで、僕の出場機会はあまりありませんでしたが、とにかく練習から自分が頑張っている姿をチームメイトに見せて、良い刺激を与えていきたいと思っています。ベンチに入れてもらうことは多いので、チームのためにひとつでもできることがあればと常に考えて一生懸命やっています。
 

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