新機軸「4-3-3」を継続すべきか。11月のベトナム&オマーン戦のベストな戦い方を探る【W杯最終予選】

2021年10月25日 河治良幸

「4-3-3」の固定化はアドバンテージを手放すことに

田中(写真)や守田をインサイドハーフに配した「4-3-3」で前節の豪州戦は勝利。新機軸となるシステムの今後の運用方法に注目が集まる。写真:金子拓弥 (サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 カタール・ワールドカップのアジア最終予選を戦う日本代表は、1勝2敗の成績で迎えた第4節のオーストラリア戦で新機軸「4-3-3」システムを打ち出し、2-1で勝利した。

 いずれも敵地でベトナム、オマーンと対戦する11月シリーズでも、「4-3-3」を継続すべきか。それとも従来の「4-2-3-1」に戻すべきか。相手のスタイルを踏まえたうえで、ベストな戦い方を探る。

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 ベトナム戦は「4-3-3」でそのまま行くべきではないと考える。理由は相手のシステム、戦い方を想定すると「4-3-3」がマイナスになりうることだ。現在の日本が抱えている問題は戦術の対応幅が狭く、「4-2-3-1」なら「4-2-3-1」の弱点、「4-3-3」なら「4-3-3」の弱点をそのまま相手に利用されやすいことだ。

 正直に言えば、オーストラリア戦は「4-3-3」が完璧にハマったというよりは、サウジアラビアから長い移動を経た割にはコンディショニングがうまく行き、運動量と強度でオーストラリアを上回れたことがプラスに働いた。それでも位置的優位を取られる時間帯が多く、オーストラリア戦も結果的に1失点で済んだが、「4-3-3」のプレスの穴を突かれそうになったシーンは、失点につながったシーン以外にも見られた。
 
 ベトナムは「5-3-2」をベースにしているが、自陣深くで守備を固めるというよりはラインを押し上げながら、必要に応じて「5-4-1」のような形で中盤にプレッシャーをかけて、奪ったら縦パスやドリブルの推進力で素早くゴール前に持って行くスタイルだ。「4-2-3-1」でも「4-3-3」でもカウンターの対応時にフリーの選手が出てしまいやすい。それでも「4-2-3-1」のほうが相手の中盤に対する噛み合わせがよく、選手たちがより慣れている分、相手にスカウティングで狙われる隙も「4-3-3」よりは少ない。

 オーストラリア戦で「4-3-3」がある程度機能したことで、相手は的を絞った対策を試合前から立てにくくなった。利用したいのはそこで、1試合うまく行ったからといって固定的に「4-3-3」を使っていくことは、そのアドバンテージを手放してしまうことに等しい。特にシリーズの1試合目はコンディションも整っていないので、ベトナムが相手でも油断は禁物だ。

 11月のハノイは最低気温が22度、最高気温が26度と1年の中では過ごしやすいが、湿度が高めなので前回のオーストラリア戦のような運動量を期待するのは難しい。いずれにしてもボール保持率はおそらく日本が60%は握れるが、ベトナムはゴール前に守備を固めて一発のカウンターを狙うスタイルではない。「4-3-3」を採用する場合でも、中盤のパスをカットされたところで裏目に出る危険はあることを想定しておく必要がある。

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