「また観たいと思わせてくれるチームに」南葛SCのサポーターが自問する、チームの勝利と魅力のベストバランス

2021年10月26日 伊藤 亮

“リアル”南葛SCのサポーターたち<後編> 三者三様の今シーズンの振り返り

J1クラスの元Jリーガーも獲得し、着実にレベルアップしてきた南葛SC。しかし、関東リーグを勝ち抜くのは、そう簡単ではないことをサポーターも理解しているようだ。写真:徳原隆元

 サポーターにとって、応援するチームの試合の勝ち負けは自分事だ。愛着が深まれば深まるほど、チームの成績は自分に大きく影響してくる。

 2021年シーズン、関東サッカーリーグに挑戦した南葛SCの戦いぶりは、サポーターたちにどう映っているのか。振り返りから見えてきたのは、勝利に対する価値の置き方。

 そして、答えが出そうで出ない、しかし考えないわけにはいかない、チームの勝利とチームの魅力の相関関係だった。

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 今回、南葛SCのサポーターとしてお話を伺ったドイさん(ハンドルネーム/男性)、たばさん(HN/男性)、よこちゃんさん(HN/女性)。南葛SCの試合をくまなく観ていることは、今シーズンの振り返りからも伝わってくる。

 南葛SCの2021年シーズンはまだ終わっていないが、関東サッカーリーグ2部の日程は消化した。10勝6分2敗、勝点36の2位。この「勝点36」という数字をドイさんはシーズン前から指標としていた。

「これまでも関東リーグを観ていて、統計からいって本来自動昇格となる2位までに必要な勝点は最低36だと。なので及第点はクリアできたと思います。関東リーグのレベルは知っていましたから甘くないのは分かっていました。でも、もう少しやれるという期待もありました。相当研究されている部分もあり、相手の守りも堅かった」

 チームは後半6連戦を4勝2分。一気に2位に浮上した4連勝にチームの成長と底力を見たが、ドイさんは愛情ゆえに他のポイントを挙げた。

「シーズン後半に4連勝したことは嬉しかったですけど、シーズンを通し6試合引き分けたうちの4試合は85分以降の失点でした。あれはもったいなかったですね。この4試合を勝ち切っていれば勝点を8上乗せできたわけで」

 たばさんの印象は、ドイさんとは少し異なる。

「昨年同様、選手を揃えてもぶっちぎりとはなりませんでした。元Jリーガーの選手は上手いのは間違いありませんが、チームにフィットするまでに時間がかかります。相手の当たりも強いし、ちょっとイライラしているようにも見えて苦戦していたのではないでしょうか。ただ、9月5日に行なわれた後期5節の東邦チタニウム戦で潮目が変わった。0-0で引き分けた試合ですが、1人が退場になっても戦う姿勢が見られました。選手があれだけ気持ちを出して戦えるのなら、もう残りの試合を負けることはない、みたいなツイートをしました。そこから4連勝して最終的に2位。僕としてはかなり頑張ってくれたという印象です」

 よこちゃんさんはリアルタイムでコメント欄やツイッターでサポーター仲間とコメントをやりとりしながら、リモート中継を観てきた。
「昨シーズンと似ている印象でした。シーズン前半は先制しても追い付かれるパターンが多くて"ああ……"とがっかりする感じだったんですが、最後の6連戦を負けなし4連勝で2位に入ったことは、チームの集中力と、ケガで離れていた選手たちも次々と戻ってきて活躍してくれたからこそ。本当にありがとうございます(笑)。おかげさまで9月、10月は本当にごきげんに過ごせました」
 

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