森保Jの4-3-3システムの有用性は?明神智和が見た豪州戦での“変化”と田中碧

2021年10月13日 サッカーダイジェストWeb編集部

田中選手のプレーは特筆すべき

自身のプレーのみならず、周囲への指示でも存在感を発揮した田中。写真:金子拓弥 (サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 2-1で勝利したオーストラリア戦は、結果を出せたというのが全てを物語った試合だったと思います。

 ワールドカップ予選なので、内容云々よりも結果が大事。どんな内容であってもワールドカップに出るというのが最低限のノルマです。そういう意味では、8日のサウジアラビア戦にアウェーで負けて、期間が短いなかで相当なプレッシャーが監督含め選手たちにかかっている試合でした。

 勝因を挙げるとすれば、まずはチームマネジメントと監督の采配ではないでしょうか。

 移動が厳しいなかでコンディションもしっかりと作れたと思いますし、一番はメンタル面。一言で言ってしまえばチームが一丸となるというような、言葉にすれば簡単ではありますが、それを上手くピッチで表現できていました。

 システムを少し変えてきたところ、メンバーを少し変えてきたところも結果につながった部分でしょう。

 遠藤航選手に加え、田中碧選手、守田英正選手の人選の部分では、個人の特長も生きました。中盤の3人が全員ハードワークできますし、ひとりでボールを奪い切るという能力も非常に高い。かつ、技術的にも優れている選手たち。

 そのため、3人のところでボールを奪う回数は非常に多かったと思います。中盤でボールを奪えるので、アタッキングサードに入っていきやすく、相手の攻撃も自由にさせない部分もありました。

 併せて前線の3人もファーストディフェンダーとしてのアプローチと、それに連動して中盤の3人が動くことで、真ん中のゾーンで奪えることが多かった。
 
 田中選手のプレーは特筆すべきです。

 先制点のシーンは簡単そうに見えますが、クロスボールが相手の足に少し当たってイレギュラーなボールとなりますが、しっかりとファーストタッチを蹴れるところに置き、しっかりと逆サイドに打つ。それを実行する技術、冷静さ、判断力を含めて素晴らしかったと思います。

 ビルドアップでも、サウジアラビア戦後に遠藤保仁選手のようなプレーが必要と言いましたが、ディフェンスラインがボールを持っているときにも、常に周りを見ながら、味方と味方のちょうど中間地点に入ったり、相手の中にポジションをとったり、身振り手振りでボールを出す先の指示もしながら、非常にテンポよくボールを動かしていていました。

 前だけに急ぎ過ぎず、横へのパスやリターンパスを交えながら、相手のFWの狙いを外すというか、足を止めてしまうというか。まさに望んでいたプレーをしてくれました。僕が今教えている選手たち、子どもたちには参考にしてほしいプレーでしたね。
 

次ページ中盤3選手以外にも参考にしてほしいのは…

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