「引退してもいい」日本を救った田中碧が“背水のオーストラリア戦”で抱いていた心情を吐露

2021年10月13日 サッカーダイジェスト編集部

「僕の人生の中で多分これ以上緊張することはないだろうな」

オーストラリア戦では先発した田中。8分に先制ゴールを奪った。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

[カタール・ワールドカップ・アジア最終予選]日本 2-1 オーストラリア/10月12日/埼玉スタジアム2002

 日本代表は10月12日、カタール・ワールドカップ最終予選でオーストラリア代表と対戦。埼玉スタジアムで行なわれた一戦で、2-1で勝利を収めた。

 すでに2敗を喫し、背水の陣で臨んだこの試合で大きな輝きを放ったのが、23歳の田中碧だった。

 田中は4-3-3のインサイドハーフの一角で出場すると、的確なポジショニングとテンポの良いパス、そして絶え間ないコーチングでチームを機能させていった。

 さらに8分には、ゴール前に駆け上がっていき、値千金の先制ゴールを奪ってもいる。

「本当に選ばれた時から出たいという気持ちはもちろんありましたし、サウジ戦も出られはしなかったですけど、常に自分がやってやるという気持ちは持っていた。そのなかで、こういう状況の試合で自分を選んでくれたというのは、自分がやらなきゃいけない責任は間違いなくありましたし、ここに素晴らしい先輩方がたくさんいるなかで、初招集で選んでもらったからには勝たなきゃいけない」

 そんな気持ちでピッチに立っていたというが、この試合が最終予選で初先発。国際Aマッチは、2019年のE-1選手権以来(その時のメンバーは若手が中心だった)、3試合目だ。そんな田中にとって、負ければワールドカップへの自動出場権が危うくなるゲームは、やはり相当な重圧を感じるものだった。
 
「正直、僕の人生の中で多分これ以上緊張することはないだろうなというくらい。日本サッカーの進退がかかっていた試合だったので。本当にこの試合が終わって引退してもいいやと思えるくらい後悔のないゲームをしたいと思っていたので、そういう意味では本当に自信を持ってプレーしました」

 そんな緊張感を抱きながらも、堂々と振る舞った田中はさらに「やっぱり素晴らしい先輩たちとの経験もすごい大事ですけど、その半面、若い選手の勢いも時には必要だと思う」とも言う。

「僕は勢いでのし上がってきたタイプではないですけど、90分のなかではしっかり、そういうものを出していかなければいけないと思います。苦しい状況だったのは間違いないですけど、こうやって少しずつ勝ちを続けることで状況は変えられる。

 ワールドカップに日本サッカーがいくことがなにより重要なので、そのために、僕だけじゃなくていろんな人がそこに向かって進んでいる。自分が代表してピッチに立ちましたけど、しっかりと結果を残すのが大事。これからも簡単な試合はないですし、ワールドカップはもっともっと厳しい舞台だと思っているので、そこに僕自身ももっともっと成長して引っ張っていく立場にいくくらい力をつけていかなければいけないんじゃないかなと思います」

 責任感溢れる田中が今後、日本を引っ張る存在になるかもしれない。

構成●サッカーダイジェスト編集部

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