【なでしこサッカー新時代】第5回 浜田遥 (後編)|「サッカーを通して恩返しがしたいと、ずっと考えていたんです」

2021年10月20日 西森彰

「お世話になった東北の方に、恩返しを」

キャンペーン使用球とともに笑顔の浜田選手。写真提供:PARK

 「なでしこサッカー新時代」第5回のゲストはマイナビ仙台レディースの浜田遥選手だ。

 先日、右ひざ内側の靭帯損傷と診断されため、手術に踏み切り、10週間ほど戦列を離れることになったが、この後編では、浜田選手の東北への感謝から、プロサッカー選手ならではの社会貢献活動、そしてなでしこジャパンへの想いを、語ってもらった。(※取材は9月22日に実施)


――WEリーグの特徴の一つが、秋に始まり、春に終わる秋春制です。客観的に見て、北のチームには不利なのでしょうか。

 雪が積もったら大変です(笑)。ただ、私たちはこれまで「夏に弱い」と言われてきたので、冬のシーズンが長い分、寒さに強いところを発揮できるというのは利点になります。雪がどの程度降るかは心配ですが、寒さは味方にできるはずなので。

――年末の皇后杯のように、雪が降るとわかっている時期は、どのように練習をしていたのでしょうか。

 温暖な場所に移動して、キャンプをしていました。今年の冬もどうするのかは、フロントの方々が考えてくださっていると思うので、安心して冬を迎えられます。

――浜田選手は、中学2年生でJFAアカデミー福島に加わって以降、長い時間を東北で過ごしてきました。東北、そして本拠地である仙台に対する想いは強いものがあるのではないですか。

 このチームは、10年前に東日本大震災があった時、たくさんの方が力を貸してくれた賜物です。ベガルタ仙台レディースという場所を作って下さり、今もこうやってチームが続いています。本当に感謝しています。

 これまでにも、たくさんの方々に支えてもらっていましたが、なかなか結果でお返しすることができていないんです。今年は震災から10年という節目の年でもありますし、宮城県の希望の星となれるように、優勝したいです。

――地元の方々の応援というのは、本当に力となるんですね。

 (東京電力女子サッカー部)マリーゼからや、ベガルタの時から支えてくださっている方から「応援しているよ」と連絡をいただくこともあります。恩返しのためにも、優勝したいですね。

――ピッチでの努力はもちろんですが、今シーズン、浜田選手は、女子プロサッカー選手として、東北と世界の子供たちのために、新しい社会貢献のかたちにチャレンジされているそうですね。

 はい、PARKさんの「Pass-A-Ball Project」の一環で、私のゴール数と、私が所属するマイナビ仙台レディースの勝利数だけ、ボールを寄付するというプロジェクトを立ち上げました。私の寄付したボールは、東北の子供たちと世界中の恵まれない子供たちのもとに届けられます。

 東日本大震災の当時、私は高校を卒業したばかりで、本当に何も考えられなくて、気がついたらもう10年経ってしまったような感覚です。「サッカーを通して、支えてくださった方、お世話になった東北の方に、自分が恩返しできることはないか」とずっと考えていて、今年こそは絶対に、行動に移そうと決めていました。そして、PARKさんの取り組みを知り、チャレンジしようと決めました。
 

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