【岩本輝雄】川崎の新戦力マルシーニョに味方のサポートは不要。ただ“共存”させたいのは…

2021年09月30日 岩本輝雄

独力で全部、勝負させたほうがより活きる

抜群のスピードを誇るマルシーニョ。簡単に裏を取れる突破力は魅力だ。(C)SOCCER DIGEST

[J1リーグ第28節]川崎 1-1 神戸/9月29日/等々力陸上競技場

 前半でリードを許す苦しい展開。でも、後半に3得点。首位を走るフロンターレは、相変わらずの強さを見せている。ダミアンのPKで追いつき、相手のオウンゴールで試合をひっくり返して、家長がダメを押す。3-1でヴィッセルに逆転勝ちした。

 ここぞという場面できっちりと点が取れる。海外移籍で三笘や田中がいなくなって戦力ダウンは否めないなかでも、勝負強さは変わらない。

 なによりも、鬼木監督の采配が凄いと思う。このヴィッセル戦のほか、前節のベルマーレ戦、その前のアントラーズ戦と、いずれも逆転勝ち。前半は思うような内容じゃなかったり、先制点を取られても、しっかりと修正して、勝ちに持っていく。

 加えて、新たなスター候補の台頭も特筆すべきこと。今夏に加入したマルシーニョは、面白そうだよね。今回のヴィッセル戦で4試合目。まだ得点はないけど、かなり期待できるんじゃないかな。

 抜群のスピードで、簡単に裏を取れる突破力がある。個人的には、彼にサポートはいらないんじゃないかと思う。どんな時も1対1。グループとしての連係も大事なんだろうけど、マルシーニョみたいなタイプは、独力で全部、勝負させたほうがより活きるような気がする。

 コンビネーションの部分は、時間が経てばそのうち自然と深まってくるはず。今は、とにかく強気に縦に仕掛けて、攻撃に勢いをつけるようなプレーが見たい。
 
 もうひとり目を引いたのが、そのマルシーニョとの交代で途中出場した宮城。アントラーズ戦の無回転ミドルで話題になったプロ2年目の20歳のアタッカーは、期待通りのパフォーマンスを続けていると思う。

 スタジアムで観たのは今回が初めてで、ボールを持って前を向いたら"雰囲気"があるよね。何かをやってくれそうだな、と。縦にグッと行けるのはもちろん、カットインの動きもスムーズ。中に切れ込めば、パスもシュートもできますよ、というオーラを醸し出す。

 夏場以降に出番を増やして、今はまだ途中出場のほうが多いけど、プレータイムをさらに増やして、実戦を重ねれば、もっと活躍できるはず。ポテンシャルは相当に高いと思う。

 マルシーニョと宮城。まだ同時にピッチに立った試合はないはずだけど、ふたりの"共存"も一度、見てみたいね。

【J1第28節PHOTO】川崎3-1神戸|後半の3発で、3試合連続逆転!勝ちきった川崎が5連勝!
 
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