「周囲からの信頼のおかげで心に余裕が」批判に晒され続けたマドリーの21歳FWが本格ブレイク!

2021年09月24日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

大車輪の働きでニュースター誕生の予感も

フィニッシュの精度が格段に増したヴィニシウス。(C)Getty Images

 クリスチアーノ・ロナウドが2018年夏に退団して以来、得点力不足に苦しんできたレアル・マドリーの攻撃力が復活しつつある。絶対エースのカリム・ベンゼマとともにその好調なチームを牽引しているのがヴィニシウス・ジュニオールだ。

 最終局面でのプレー選択やゴール前での決定力といった、これまで指摘され続けてきた課題を見事克服し、6節を消化したラ・リーガで5ゴール・3アシスト。大車輪の働きでニュースター誕生の予感さえ漂わせている。

 そのヴィニシウスは、『アス』紙のインタビューで好調の秘訣を問われ、こう答えている。

「練習の成果だ。ほぼ毎日、多くの時間をバルデベバス(練習施設)でのシュート練習に費やしてきたからね。あと重要なのは、ミステル(監督)やテクニカルスタッフといった周囲からの信頼だ。そのおかげで、ミスをしてもふたたびトライすればいいという心の余裕が生まれている」

 加えて強調したいのが、カルロ・アンチェロッティ監督のアドバイスだ。開幕節のアラベス戦後の記者会見で、「ヴィニシウスはドリブルにこだわりすぎずに少ないタッチでシュートをすべき」と"公開ダメ出し"を受けたが、その教えを素直に聞き入れ、その後の試合では「1~2回のタッチでシュートに持ち込むことを心掛けている」という。
 
 もちろん、チームメイトからの信頼も高まっている。師弟関係を築くベンゼマを筆頭に、周囲の選手が積極的にボールを託してくれるようになり、ヴィニシウスもまたその期待に応え、サイドの突破口としてドリブルで相手の守備網を切り裂き、攻撃の起点になり続けている。

 4500万ユーロ(約58億5000万円)の移籍金とともに、C・ロナウドと入れ替わる形でマドリーに加入し、さまざまな重圧や批判に晒されながらも、その困難な時期を乗り越えてきたヴィニシウス。そんな彼を突き動かしているのは、「パーソナリティーの強さとマドリーで成功したいという欲求」だと力強く語っている。

 決して一夜にして突如、覚醒したわけではない。その背景にはみずからの課題と真摯に向き合いながら努力する心と周囲の支えがあった。すでに入団4年目を迎えるが、まだ21歳。この覚醒が本物かどうか今後も見守っていく必要はあるが、だからこそまだまだ底を見せていない魅力もヴィニシウスにはある。

 これからも不屈の精神で一心不乱にサッカーに取り組み、その努力の先でどんな進化を遂げるのか。楽しみは尽きない。

構成●ワールドサッカーダイジェスト編集部
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事