【ACLラウンド16】攻撃陣に充実感が漂う名古屋。試合の機微を理解しながら戦える“マッシモ流”も強みに

2021年09月14日 今井雄一朗

あくまで矢印は自分たちに向け、闘うと宣言

充実感が漂う攻撃陣。純然たるストライカーとしての高い能力を誇るシュヴィルツォク(写真)ほか、金崎の戦列復帰も好材料だ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

ACLラウンド16
名古屋グランパス-大邱FC
9月14日(火)/18:00/豊田スタジアム

 5勝1分と圧巻のグループステージから早2か月が経ち、他の対戦相手と同様に名古屋の陣容やチーム状態にもかなりの変化が起こっている。

 夏の移籍で獲得したシュヴィルツォクとキム・ミンテという攻守の柱になり得る新戦力たちはその筆頭で、前者は純然たるストライカーとしての能力の高さで、後者は現代型センターバックとしての質の高さにおいて、ともにグループのクオリティを上げる存在だ。

 前線ではグループステージで4得点の山﨑凌吾が負傷離脱から戻ったばかりで、ルヴァンカップ準々決勝の鹿島アントラーズ戦で負傷した柿谷曜一朗の出場も微妙なところながら、昨年11月の負傷から9か月ぶりに金崎夢生が復帰しており、前田直輝もFWへの順応を高めてきたことで、むしろ充実感がゴール前にはある。

 ACLをきっかけにオプションから基本布陣の仲間入りを果たした4-3-3にしても中盤のバリエーションは増え、キム・ミンテの加入によって木本恭生をアンカーやボランチで起用するオプションがこのところ定着。さらには森下龍矢がサイドハーフで目覚ましいプレーを連発しており、前田、マテウス、相馬勇紀にも並ぶサイドアタッカーとなって、マッシモ・フィッカデンティ監督の戦術に深みをもたらした。

 8月序盤こそACL絡みの疲労感が珍しい連敗などにもつながったが、その後は無失点ベースの安定感あふれる試合運びを取り戻した。チームトップスコアラーである稲垣祥がルヴァンカップ準々決勝の2試合で連続得点するなど攻撃の勢いも復活してきた感がある。

 今季ここまでで積み上げてきたチーム全体で得点を生み出す形が威力を発揮すれば、シュヴィルツォクや金崎ら点取り屋の個人得点力に頼る攻撃への援護射撃となるはず。そういったチームのスケールアップについては、フィッカデンティ監督も「今までやろうと思ってもできなかったような攻撃の仕方、いろいろなパターン、よりこちらから仕掛けていくようなことも、もっともっとできていくのでは」と期待感を口にする。
 
 ACLラウンド16の相手、大邱については「フィジカル的な強さというものもあって、すごく堅い守りをベースに戦うチーム」と警戒しながらも、「我々がいつもどういう姿勢でサッカーに向き合い、必死に戦ってきたかというところを大事に準備してきた」とあくまで矢印は自分たちに向け、闘うと宣言。

 対戦相手の最大値を想定し、それに対してゲームプランを組み立てていくのがマッシモ流であり、堅守ベースで試合の機微を理解しながら戦って行ける安定感と対応力こそが名古屋の強みである。それだけに、「試合が始まった瞬間に、戦術的な部分を含めて、互いのコンディションも含めて、どういった相手と戦っているかを先に理解したほうが優位に試合を進める」とは自信の一言だったのかもしれない。

 同じトーナメント形式の天皇杯やルヴァンカップでもその長所をいかんなく発揮している今季だけに、ACLでもその勝負強さは大きなアドバンテージとして、彼らの勝因になっていくような気がしてならない。

取材・文●今井雄一朗(フリーライター)

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