「ゴール前で何ができるか」ボランチとしてさらなる進化を求める相模原・成岡輝瑠の現在地

2021年09月07日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

ポゼッションを支えるキーマン。だが、まるで満足はしていない

相模原に移籍後、成岡はすべての試合で先発。不動のボランチとして、かかる期待は大きい。写真:田中研治

「とっさの判断というか。感覚の部分が大きかったですね」

 ジュビロ磐田戦でのあるプレーについて訊けば、SC相模原の成岡輝瑠はそう答えた。

 11分、自陣でリスタートから短いパスを受けようとしたとき、背後から遠藤保仁が詰めてくる。成岡はワンフェイク入れて、ボールを止めずにくるりと反転し、逆サイドへ展開。歴戦の元日本代表MFのプレスを巧みにかわしてみせた。

「やっぱり、ボランチはチームの中心に位置しているポジションなので、そこの選手がボールを持つことを怖がっていたら絶対ダメだと思うし、自信をなくしていたらダメ。そこの自信は常に持つようにしています」

 弱冠19歳にして、堂々としたプレーだった。

 今夏に清水エスパルスから育成型期限付き移籍で相模原に新天地を求めた。加入後はすべての試合で先発を続け、不動のボランチとして活躍している。

「試合を重ねるごとに、どんどん自分のパフォーマンスは良くなってきていると思います。今よりも次、次よりもその次と、もっと良くしていきたい」

 チームはJ2の最下位に沈んでいるが、成岡が出場した5試合の戦績は2勝2分1敗。巻き返しにエンジンがかかってきた相模原で高い貢献度を示している。

「今、チームで目指しているサッカーは、自分たちでボールを保持して、動かしながら、勝つということ。そのなかで、うまくワンテンポ時間を作ったりとか、そういうところで自分の役割ができていると思います」

 積極的にプレーに絡み、テンポ良くボールを出し入れしながら、長短織り交ぜたパスでゲームを組み立てる。ポジショニング、身体の向き、ボールの置きどころなど細かい所作にこだわりながら、非凡なテクニックを駆使し中盤で抜群の存在感を見せている。

 ポゼッションを支えるキーマン。だが、成岡はまるで満足はしていない。「その部分だけ上手い選手なんていくらでもいる」ときっぱりと言う。

「そういうところは大事にしつつも、ゴール前で何ができるかっていうのが、一番怖い選手だと思う。そうなっていかないと厳しい」

 ゲームメイクをこなしながら、決定的な仕事も果たす――レアル・マドリー所属のクロアチア代表MFルカ・モドリッチを参考に、さらなるグレードアップを目指している。
 
 世代別代表の常連で、2019年のU-17ワールドカップに出場。今夏には東京五輪を戦うU-24日本代表のサポートメンバーにも選ばれたパリ五輪世代の有望株だ。

 清水ユースで最終学年の昨季は2種登録で公式戦11試合に出場。だがトップ昇格を果たした今季は思うように出番を得られず、相模原への移籍を決めた。

 プロの世界に飛び込み「自分の力不足」を痛感したシーズン前半戦だったが、今はピッチに立ち、持てる力を存分に発揮している。

「やりたいプレーというか、自分が得意としているプレーは、みんながサポートしてくれているので、すごく出しやすい環境だと思います。だからこそ、自分はもっともっと出していかないといけない」

 J2初参戦の相模原の目標は残留。その力となり、経験値を高めて成長を遂げたい。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

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