【浦和】江坂任が示した適応力…小泉佳穂とのコンビが新たなオプションに

2021年09月02日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

CFに江坂、トップ下に小泉を配置してスタートさせると…

公式戦では”初共演”となった江坂(右)と小泉(左)。息の合ったコンビネーションを見せた。写真:徳原隆元

 浦和レッズは9月1日、ルヴァンカップの準々決勝・第1戦で川崎フロンターレと対戦。1-1の引き分けで終え、第2戦に臨むこととなった。

 もっとも、勝ち切れなかったとはいえ、小さくない収穫を得た試合だった。

 そのひとつが江坂任と小泉佳穂の共存に計算が立ったことだ。

 リカルド・ロドリゲス監督はかねてから、このトップ下ふたりの同時起用を探っていた。

 江坂が加入したばかりの6月末には「彼らは一緒に組むこともできると思う」と話し、8月25日のサンフレッチェ広島戦では「江坂と小泉をふたり並べたかったのですが、今回は江坂が足を痛めたので交代という形になりました」と、その実現ができずに口惜しいコメントを残していた。

 その指揮官の狙いがついに実践されたのが、この川崎戦だったのだ。戦術家のスペイン人指揮官はCFに江坂、トップ下に小泉を配置してスタートさせる。
 
 とりわけ際立っていたのが、江坂の適応力だ。試合序盤こそパスミスが散見したものの、徐々に小泉との呼吸が合いだすと、絶妙な距離感で敵陣スペースに顔を出して攻撃を活性化。さらに守備となれば、連動したプレスで相手を押し込んでいった。

 ザスパクサツ群馬や大宮アルディージャでもFWを担うことは多かったが、改めてその非凡なサッカーセンスを感じさせた。

 江坂は試合後、小泉との関係性について以下のように話している。

「一番意識したのは距離感です。佳穂といい距離感で、離れ過ぎず、近づき過ぎず、お互いに見合って良い距離感でプレーできた。その距離感が良かった分、ボールがしっかりと保持できましたし、いい関係が築けたと思います」

 35分の先制点は、まさしくそのプレスが奏功したものだった。小泉と汰木康也と連動して敵陣でボールを奪った江坂は、GKを釣り出して関根貴大のゴールをアシストしたのだ。

 それ以外にも度々このふたりを起点として流動的な攻撃を展開。そこにスピードのある関根、汰木が絡むと、より迫力は増した。

「自分や佳穂が落ちた時には汰木、関根が相手の背後に抜けてくれる動きもあったので、そのバランスやポジショニングはやっていても楽しかったです」

 そう手応えを口にする江坂は、すでに浦和の攻撃において重要なピースとなっている。この日見せた小泉とのコンビも新たなオプションとして十分な可能性を示していた。

取材・文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)
 
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