バルサが18歳逸材への“特別扱い”を廃止した理由「甘やかすと、ろくなことがない」【現地発】

2021年08月30日 エル・パイス紙

追放に相当する不祥事だったが、期待のホープという理由で穏便に

モリバをトップデビューさせたクーマン監督も、ピッチ外での振る舞いに苦言を呈したという。(C) Getty Images

 イライシュ・モリバは2003年にギニアの首都コナクリに生まれた。エスパニョールを経由して、7歳の時にバルセロナに加入。当時から規格外の体格をしていた彼は、飛び級でカテゴリーを昇格していった。

 バルサの将来を背負って立つ逸材と評価され、そのプレーはスペイン・サッカー連盟の関係者の目にも留まり、U-16を皮切りに年代別代表に選出された。そんな中での突然の出来事だった。モリバは母国の代表としてプレーすることを公表した。

 いまモリバは移籍騒動の渦中にいるが、バルサのクラブ内ではこの決断もその一環として捉える向きが少なくない。イギリスのヨーロッパ連合(EU)離脱に伴い、次世代の選手の育成を促進することを目的にプレミアリーグと英国政府の間で「Governing Body Endorsement (GBE)」案が承認。2021年1月1日から適用が始まった。

 同案は英国籍を持たない選手がプレミアリーグでプレーするために取得しなければならない労働許可証のことで、その基準となるのが代表戦の出場数だ。つまりバルサ側は、モリバはそのポイント稼ぎのためにギニア代表を選択したと勘ぐっているのだ。

【動画】バルサが特例を認めてきた"怪物"イライシュ・モリバの厳選プレー集
 
 この夏、モリバが無礼な態度を取ったのはこれが初めてではない。その最初の被害者は言うまでもなくバルサだ。クラブは2022年6月に満了する契約の延長を目指していたが、交渉は決裂。

「おそらく他のクラブとすでに何らかの契約を結んでいるのだろう。代理人にとってはビジネスチャンスだ。しかし選手本人にとってはそうではない。とても残念だよ。ラ・マシアに入団してから、我われはモリバの成長をあらゆる面からサポートしてきた。でもいま彼の行く手を様々な障害物が阻んでいる」と関係者が認めるように、このまま物別れに終わる可能性が大きい。

 入団直後から飛び級でプレーさせるのが1度目なら、バルサがモリバに対し、2度目の特別扱いをしたのが規則違反を犯した時だ。関係者によると本来なら追放に相当する不祥事だったが、期待のホープという理由で穏便に済ませたという。こうしてモリバはラ・マシアを退寮。両親が住む実家に戻り、そこから練習場に通うことになった。
 

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