【喜熨斗勝史の欧州戦記|第5回】ワールドカップ予選再開、ヨーロッパはすべてが“死の組”!「全試合に勝たないといけない」

2021年08月30日 サッカーダイジェスト編集部

各組で1チームしかワールドカップ本大会にストレートインできない

再開するワールドカップ予選に臨むセルビア代表。士気を高めて試合に挑む。(C)Getty Images

 セルビア代表のドラガン・ストイコビッチ監督を右腕として支える日本人コーチがいる。"ピクシー"と名古屋でも共闘し、2010年のリーグ優勝に貢献した喜熨斗勝史だ。

 そんな喜熨斗氏がヨーロッパのトップレベルで感じたすべてを明かす連載「喜熨斗勝史の欧州戦記」。第5回は、欧州のワールドカップ予選について語ってくれた。
 
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 いよいよ、ですね。

 日本代表は9月から2022年カタール・ワールドカップのアジア最終予選が始まりますが、我々セルビア代表も来月からワールドカップ欧州予選が再開します。3月の3連戦時は着任後すぐの出来事でしたが、こうして時間が経てば経つほどに事の重大さが分かってきて、身を引き締める思いです。

 5~6か国に分かれた各組で1チームしかワールドカップ本大会にストレートインできないレギュレーション(2位は来年3月予定の欧州予選プレーオフに回る)。日本ではよく"死の組"という表現を耳にしますが、欧州予選はすべてが"死の組"です(笑)。そのなかで我々は2勝1分と好スタートを切っており、1位を狙える位置(ポルトガルと同勝点の2位)にいます。本当に幸せなことですね。
 
 私は6月に日本代表との親善試合後、1度セルビアに戻り、6月中旬に一時帰国しました。欧州選手権や東京五輪などをテレビで見つつ、しばしの充電を経て8月23日に再びセルビアへと戻ってきました。すでにドラガン・ストイコビッチ監督を始めとするスタッフ陣とのミーティングを行ない、士気を高めています。もっともミスター(ストイコビッチ監督)は試合前からテンションが高い人ではなく、試合直前に一気に火が付くタイプですが、やはりセルビアのサッカー熱は凄い。

 代表チームのキャンプ地であり、私も住まわせてもらっているセルビア協会所有の施設は2か月不在の間にレストランが拡張されていたり、アンダー世代や女子のオフィシャル大会が開催できるようにVAR設備が整えられていたり……。テレビを付けたら朝から晩までサッカーが放送されているし、周りはそんな人たちばかりだから、こっちに来た瞬間に"スイッチ"が入りました。

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