【名古屋】決意の移籍で目指す韓国代表入り。新戦力DFキム・ミンテが示す覚悟

2021年08月15日 本田健介(サッカーダイジェスト)

「この半年をターニングポイントにしたい」

札幌で4シーズン半プレーしたキム・ミンテ。レンタル移籍で加わった名古屋でさらに成長できるか。(C)SOCCER DIGEST

「名古屋に来て、できるだけ札幌の話をしないようにと、自分で決めたことがあります。切り替えなくてはいけないところなので、切り替えて名古屋のためにやっていきたい。ただ札幌には長く在籍させてもらい、チームメイトにもよくしてもらい、この場を借りて改めて感謝したいです」

 8月12日、札幌から名古屋への期限付き移籍を決めたDFキム・ミンテは「札幌という場所は本当に特別な場所です」との言葉とともに、想いのこもったメッセージをこれまで支えてもらったサポーターへ送った。
 
 札幌で過ごした4シーズン半、様々な経験をしてきただけに、移籍するにあたっては葛藤もあったはずだ。それでも、想いを訊けば、冒頭の言葉のように、今は名古屋でのプレーに集中することを自らに言い聞かせている。名古屋で成長した姿を見せることが札幌への恩返しともなり、自らのキャリアをさらに輝かしいものにできると信じているのだろう。
 
 名古屋へ移籍を決めた理由は、イタリア人指揮官のマッシモ・フィッカデンティ監督の下で守備戦術を学ぶためであり、CBとしてより幅を広げるためである。ちなみに札幌ではチームメイトの小野伸二、現在はクラブでコンサドーレ・リレーションズチーム・キャプテン(C.R.C)を務めるOBの河合竜二に相談し、引き留められつつ、背中を押してもらったという。

「今27歳で(11月で)28歳になりますが、自分なりにこの半年をターニングポイントにしたいです。このタイミングでさらにステップアップしたい。CBって28から33、34歳くらいまでが良い歳だと思うんですが、もっと良い選手になれるように頑張りたいです」

 だからこそ、ボランチもこなせるが、やはり「CBで勝負したい」との想いが強い。中谷進之介、木本恭生らとのレギュラー争いが待つが、その意気込みが、名古屋の新たな力になるはずである。

 タイで開催されたACLのグループステージは5勝1分で首位突破を果たした名古屋だが、帰国後はハードスケジュールの影響もあり苦戦。リーグ戦は売りの堅守が崩れ、3連敗を喫している(鳥栖戦●1-3、横浜FC戦●0-2、横浜戦●0-2)。さらにキャプテンのCB丸山祐市が長期離脱中(5月の清水戦で右膝を怪我し、全治約6~8か月)と、苦しい状況であり、夏の新戦力FWであるポーランド代表ヤクブ・シュヴィルツォクとともに、キム・ミンテにかかる期待は大きいのである

 さらに活躍を続ければ、年代別代表の経験はあるが、A代表には選ばれたことのない、韓国代表への道にもつながるはずだ。それは元札幌GKの盟友ク・ソンユンとの再会を目指す道でもある。

「ソンユンとは、オリンピックでも一緒にやってきましたし、そういう特別な想いもあります。(ふたりで一緒に代表に入る夢は)今でも諦めていませんし、代表に選んでもらえるように名古屋でしっかりプレーしたいです。来年、ワールドカップもありますし、頑張ります」

 後ろ髪を引かれる想いもあるかもしれない。それでも前へ、自らの成長への道を選んだキム・ミンテ。その覚悟が、個人としても、チームとしてもポジティブな結果として表われることを願いたい。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
 
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