【千葉】オーストラリアでの自信を手に。新加入の檀崎竜孔は起爆剤となるか

2021年08月13日 本田健介(サッカーダイジェスト)

札幌で出場機会を得られずも、オーストラリアでは結果を残す

千葉にレンタルで加わった檀崎。結果を残せるか。(C)JEFUNITED

 礼儀正しい好青年の姿とは裏腹に、その言葉からは飽くなき向上心、"ギラつき"が感じられた。

 8月13日、前日にJ1の札幌からのレンタル移籍でJ2の千葉に加わったFW檀崎竜孔がトレーニング後、新天地での意気込みを語ってくれた。

 3年時には10番も背負った青森山田高から2019年に札幌に加入した檀崎は、プロ2年目だった昨年11月、オーストラリアのブリスベン・ロアーへレンタル移籍。

 札幌での1年目はルヴァンカップで8試合に出場し、4月にはプロ初ゴールを決めたが、リーグ戦は2試合・0得点。2年目もリーグ戦は1試合の出場に止まり、オーストラリアへの武者修行を決めていた。すると新天地では10番を背負って躍動。25試合で9ゴールの成績を残し、攻撃を牽引したのだ。その後は地元サポーターに惜しまれながら、移籍期限満了を持って先日、7月23日に札幌への復帰が発表されていた。

 濃密な約8か月の日々を過ごし、想いはさらに強まったのだろう。成長の速度をさらに加速させたい――。札幌への愛着もあったはずだが、オーストラリアで掴んだ手応えをさらなる目に見える成果へつなぐために、出場機会を求めて決めたのがJ2の千葉への期限付き移籍だった。
「(オーストラリアで)シーズンを通して試合に出場できたことで、しっかり経験を積めたと感じていますし、得点を決めるのは僕の仕事だと思っています。そういうところを含めて試合に出てなんぼだと思っているので、千葉でも結果を出してアピールしたいです」

 プロ3年目の21歳。先日までは同世代が活躍した東京五輪も開催された。刺激を受けただろう。

「僕自身、ジェフで力を発揮して、本当にJ1昇格に向けて少しでも力になれるように、ここで活躍して、個人としてもチームとしても、ステップアップできるのが理想だと思っています」

 競争が激しいプロの世界でも、自信を常に抱えてきた。

「試合に出られれば、結果を残せる自信はありました。試合に出てからが勝負だと思っています」

 その証明となったのがオーストラリアでのパフォーマンスである。千葉でも同様の活躍を示せれば、自信は確信へと変わるはずである。

 千葉の現在のシステムは3-4-2-1。檀崎の自ら仕掛け得点に関わるプレースタイルを考えれば、シャドーが主戦場になるか。本人も「よりゴールに近いところでプレーしたいとの気持ちはあります。前線でしっかりプレーして結果を出すのが僕の仕事だと思います」と話す。

 チームはシーズンの半分を少し越えた24試合を終えて、8勝8分8敗の10位と苦しい戦いを強いられている。昇格圏の1位・京都とは勝点19差、2位・磐田とは17差だ。そのなかでユン・ジョンファン監督が求めるのはチームを活性化する、自ら仕掛け、違いを生み出せる選手である。

 ちなみに檀崎は高校時代に、当時、ユン・ジョンファン監督が指揮していたC大阪の練習に参加した経験があり、指揮官のサッカーを「しっかりブロックを敷いてカウンターに出る、堅守速攻のイメージがあります」と語る。

 だからこそプレーのイメージもできている。

「守備のところでも献身性を出しながら、ゴールに向かう。攻撃面で得点の部分、結果、アシストを含めてそういったところでアピールしたいです」

 記者一人ひとりの質問が終わると「ありがとうございます」としっかり感謝の気持ちを伝える青年は、それでも眼光は鋭い。

 千葉の前線の3枚は、CFにサウダーニャ、2シャドーにチームトップの7ゴールを奪う見木友哉、チーム2位の6ゴールを奪う船山貴之が入るトライアングルが"定番"となっている。その間に割って入れるか。

 オーストラリアで勢いを得たアタッカーには、千葉の起爆剤となる活躍に期待したい。背番号8にとって、青森山田時代の中学、高校の先輩、高橋壱晟がチームにいることも大きいだろう。過度のプレッシャーは禁物だが、明るい風をもたらしてくれるのか注目である。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
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