「とにかく思い入れがある」。福田正博が選ぶ日本代表・歴代最強ベスト11は特別感が漂う

2021年08月15日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

個ではなくベストチームという感覚でチョイス

92年にアジアカップを制した個性的な面々が並ぶ。写真:サッカーダイジェスト

 1921年9月10日に創立された日本サッカー協会が今年で設立100周年を迎える。それを記念して、元日本代表FWで現在は解説者としても活動する福田正博氏にオールタイム(1921~2021年)で日本代表の歴代最強ベスト11を選定してもらった。

 今回の企画の選定基準を把握したうえで、福田氏はあえて個人ではなく"チーム"としてベスト11を選んだ。

「日本が初めてアジアカップで頂点に立った92年大会のメンバーから11人を選んだ。恥ずかしながら自分も入れたけど(笑)、とにかく思い入れがあるチーム。企画の趣旨とずれるのは承知で、個ではなくベストチームという感覚でチョイスさせてもらった」

 Jリーグ開幕を翌93年に控えて開催されたアジアカップは確かに"日本サッカーの夜明け"を感じさせてくれた大会で、当時を知るサッカーファンにとってもあの優勝は特別なものだったに違いない。

「92年当時は代表監督に初めて外国人のオフトを招聘するなど、日本サッカーの転換期だった。93年にJリーグ開幕を控えていて国中が熱気に包まれる中、『サッカー文化を根付かせたい。プロリーグを成功させたい』という志を持ってプレーできたのは幸せだった」
 

 とはいえ、最初からチームが上手くいっていたわけではない。アジアカップ優勝までも紆余曲折はあった。

「オフト体制発足直後はチーム内でいろいろあって『崩壊するんじゃないか』と思ったけど、勝利を重ねるうちに段々団結していった。雨降って地固まるというか、まるで『スクールウォーズ』のような感じだったよ(笑)。『こうやってチームはできあがる』というのを実感できたのが、92年のアジアカップだった」

 そんな福田氏がベスト11に選んだ選手の評価は以下の通りだった。

カズ:「眩い輝きを放つスーパースター」
高木:「圧巻のフィジカル。外国勢とも戦えた」
福田:「独力で仕掛ける切り込み隊長(笑)」
吉田:「非常に気が利く、スーパーな黒子」
ラモス:「リズムをもたらすチームの心臓」
森保:「日本代表で初めてボランチ像を確立」
堀池:「ハードマーカー、『スッポン・巧』」
柱谷:「後方から叱咤激励。ひと言で"闘将"」
井原:「狡猾さも含めてクレバーなDF」
都並:「正真正銘のサッカー小僧」
前川:「人柄が素晴らしく何事にも一生懸命」

 この中でベストプレーヤーひとりを選ぶなら──、福田氏の答は「ラモスさん」だった。

「少年時代に遊んでもらったラモスさんと同じユニホームを着てプレーできた点も感慨深かったし、自分の記憶の中に強く刻まれているチーム。過渡期のど真ん中という時代に代表の一員として戦えて本当にラッキーだった」

 92年のアジアカップを制したチームは、記録以上に記憶に残る日本代表かもしれない。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)

※サッカーダイジェスト7月8日号掲載の原稿に加筆・修正したもの。

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