「伸二は唯一無二の存在」。坪井慶介が日本代表・歴代最強ベスト11を選ぶうえで小野をそう称賛した理由は?

2021年08月10日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

「迷ったのが、中村憲剛のところ」

坪井氏がこの11人を選ぶうえで重視したファクターのひとつがバランスだ。 写真:サッカーダイジェスト

 1921年9月10日に創立された日本サッカー協会が今年で設立100周年を迎える。それを記念して、元日本代表で06年ワールドカップにも出場したDF坪井慶介氏にオールタイム(1921~2021年)で日本代表の歴代最強ベスト11を選定してもらった。現在はタレントとして活動する同氏が今回のベスト11を選定するうえでキーワードとしたのが、パスサッカーとバランスだ。

「基本的に『パススサッカー』をキーワードにして選んだ11人です。このチームの中心軸、すなわちベストプレーヤーは即決で小野伸二。想像を超えるプレーで観衆を楽しませてくれる点で、唯一無二の存在です」

 さらに言えば、「誰も真似できない天才的なパスワーク」も選出理由である。そんな小野をトップ下にした坪井氏が、中盤で迷ったポジションが右サイドハーフだ。

「迷ったのが、中村憲剛のところ。俊さん(中村俊輔)なのかなと、パスサッカーによりこだわるのであれば。でも、俊さんを入れるとド派手なチームになるのでバランス重視で憲剛にしました。憲剛はドリブルの技術も素晴らしいので、その運ぶ力で違いを作り出してほしいです」

 「パスの球種が豊富。ドリブルも良い」と中村憲剛をチョイスした坪井氏は左サイドハーフに「パスサッカーで欠かせないパーツ」として遠藤保仁を選んだ。そしてアンカーには──。

「伸二、憲剛、ヤット(遠藤)の3人はポジションを固定せず流動的なイメージで、だからこそのアンカー阿部です。黒子役に徹しつつ、正確なロングボールを前線に入れてくれれば、かなりバランスはいいはず。正直、稲本と迷いました。でも、稲本は髪の色も含め派手な印象もあったので(笑)、ここは阿部だと」
 
 「派手なメンバーを支えてもらいたい」と阿部に期待を寄せる坪井氏が4バックの最終ライン、ゴールマウスに配置したのが酒井宏樹、中澤、冨安、長友、楢﨑だ。ちなみに、それぞれの選出理由は以下のとおりである。

酒井:「ハイクオリティな対人能力と上下動」
中澤:「リーダーシップとヘッドの強さ」
冨安:「フィジカルに加え、頭の使い方も抜群」
長友:「ゴールに結び付くクロスが印象深い」
楢﨑:「落ち着きを与える佇まいなどが最高」

 そして2トップには強烈なふたり、「予測不能な動きで相手を混乱させる」久保竜彦と、「頭、右足、左足とどこでも点を取る」高原を選んだ。

「タカ(高原)とタツさん(久保)はどんな形でもシュートに持ち込めて、しかも決定力が抜群。例えばCBの(中澤)佑二が適当にロングボールを蹴っても、このふたりなら確実に決めてくれるはずです(笑)。そんなチームをまとめてくれるのは威圧感十分のオシムさんです」

 厳格なオシム監督の下、この11人なら魅惑のパスサッカーを展開してくれそうだ。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)

※サッカーダイジェスト7月8日号掲載の原稿に加筆・修正したもの。

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