「勝つために手段を選ばない」“ビースト”林大地の最大の魅力は? 野性味あふれるプレーだけではなく…【東京五輪】

2021年08月09日 飯尾篤史

「短期間でこんなに成長するものなのか」(森保監督)

大会方式変更で五輪出場のチャンスを得た林。“ビースト”の最大の魅力とは?写真:金子拓弥 (サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 林大地は初招集となった今年3月のアルゼンチン戦でゴールを奪い、一気にサバイバルレースに名乗りを挙げた。

 残念ながら18人の本大会メンバーから落選し、4人のバックアップメンバーに回ることになったが、その後、試合ごとに22人から18人を登録するという方式に変更。さらにポジションを争う上田綺世が負傷で出遅れたため、林にビッグチャンスが巡ってきた。

 ホンジュラス、スペインとの親善試合で評価を高めた林は、本大会に入っても南アフリカ戦、メキシコ戦、ニュージーランド戦、スペイン戦、メキシコとの3位決定戦とスタメンで起用されていく。

 相手を追いかけ回し、身体をぶつけてボールをキープし、相手DFの背後に抜け出してゴール前に飛び込んでいく。"ビースト"の異名どおりの野生味溢れるプレーは、2列目に入る久保建英、堂安律との相性も良く、「短期間でこんなに成長するものなのか」と森保一監督も驚く変貌ぶりを見せるのだ。
 
「本当に頼りになる仲間がいるということが自信を与えてくれる。多少ミスをしても周りがカバーしてくれるし、自分ももっとやらないとなっていう気持ちにさせてくれる」
 
 大会中には仲間にそう感謝したが、一方で、メキシコとのグループステージ第2戦を控えて発した「言い方は悪いですけど、自分も勝つために手段を選ばないタイプなので」という言葉からは、頼もしさも感じられた。プレースタイルのみならず、こうした気持ちの強さこそ、林の最大の魅力かもしれない。

 年代別代表歴が一切なく、東京五輪代表チームに初めて加わったアルゼンチン戦も追加招集だったにもかかわらず、気後れすることなくチームに馴染めた理由についても、林はこう言うのだ。

「気を遣ってプレーしていたら、このチームにずっといるメンバーに失礼だし、もう一段チームの競争率が上がるような立ち位置に短期間でグッと持っていきたいと思っていた」

 自身初の世界大会は無得点に終わった。「責任を感じる」と悔しさを滲ませたが、その思いこそが、ビーストをさらに進化させるに違いない。

取材・文●飯尾篤史(スポーツライター)

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