大会延期が三笘薫にもたらした“夢舞台”への切符。得がたい経験と悔しさを糧にさらなる飛躍へ【東京五輪】

2021年08月08日 林 遼平

「延期はすごくチャンスと捉えてやってきた」

3位決定戦のメキシコ戦で再三に渡り決定機を演出した三笘。見事な突破から大会初ゴールも奪ってみせた。写真:金子拓弥 (サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 新型コロナウイルスのパンデミックによる五輪の延期が、ひとりのサッカー人生を変えた。

 スケジュールの変更がなければ、エントリーの可能性さえゼロに近かった三笘薫が、この1年間で一気に別次元の選手へと進化。計22人の五輪代表リストに名を連ねたのだ。

「延期はすごくチャンスと捉えてやってきた。Jリーグで活躍できれば、五輪代表に選ばれる。そう考えて結果にこだわりながら日々練習してきた。夢だった舞台に立てて嬉しい」

 ただ、五輪開幕直前にアクシデントに見舞われる。アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)で負った怪我によってコンディションを落とすと、なかなか本調子に戻らない時間が続いたのだ。当然、焦りはあっただろう。うまくいかない状況や自分自身に苛立つこともあったはずだ。
 
 それでも、三笘はチャンスを待ちながらトレーニングに励んだ。その姿勢が評価され、グループステージのメキシコ戦と準々決勝のニュージーランド戦に途中出場。メキシコとの再戦となった3位決定戦でも62分からピッチに立ち、3点のビハインドを追う展開のなか、強烈な切り返しでDFを抜き去り大会初ゴールを奪った。そのほかにも、自分らしいドリブル突破から決定機を何度も創出。チームは敗れたものの、最後のゲームで特大のインパクトを残した。

 とはいえ、思い描いたような活躍をする大会にはならなかったかもしれない。だが、大舞台での経験、そして出番が少なかった悔しさは今後の成長につなげられる。さらなる飛躍へ、三笘は先を見据える。

取材・文●林遼平(フリーライター)

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