【中断明けの青写真|横浜】杉本健勇、宮市亮の加入で前線に熾烈なポジション争いが勃発!

2021年08月07日 藤井雅彦

マスカット新監督の下で「アタッキングフットボール」継承へ

浦和から加入した杉本。6日のG大阪戦で横浜デビューを飾った。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 東京五輪開催でJリーグは一時中断。その間、各チームは戦力補強やミニキャンプ実施など、再開後に向けて準備を進めている。五輪後はいかなる戦いを見せてくれるか。ここでは、J1で首位に9ポイント差の2位につける横浜F・マリノスを取り上げる。

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 かねてから懸念されていた移籍が発表されたのは7月20日のこと。

 前半戦だけで12ゴールをマークしたオナイウ阿道がフランス2部・トゥールーズへ。日本代表に追加招集された6月のキルギス戦でハットトリックを達成するなど評価を高め、さらなるステップアップを目指して海を渡ることを決意した。

 チームにとって痛手なのは間違いないが、クラブは本人の意向を尊重。同時に有事に備えて後釜となるストライカー候補を早くからリストアップし、浦和でくすぶっていた杉本健勇を期限付き移籍で獲得した。スピーディに交渉をまとめた強化部の手腕は高く評価されるべきだ。

 その杉本は獲得発表当日の23日からスタートした宮崎キャンプでチームに合流。直前まで浦和でトレーニングしていたためコンディションに不安はなく、「何点とか決めずに、チャンスがあれば全部決めたい」とモチベーションもすこぶる高い。

 ただし横浜のゴールゲッターとして輝くためには課題もある。25日に行なわれたヴェロスクロノス都農との練習試合で天野純のゴールをアシストしたものの、フィニッシャーとしては不発。引いた位置でのポストプレーやスペースへ流れる動きなどさまざまなプレーを器用にこなせてしまうがえゆえに、ゴール前での仕事に専念できていなかった。まずはプレーエリアと役割の整理が欠かせない。
 
 杉本とストライカーポジションを争うのはレオ・セアラになる。前半戦は新型コロナウイルス感染拡大の影響で来日と合流が遅れ、本領発揮できなかった。それでもここまでの公式戦で5得点を挙げているようにゴール前での決定力には目を見張るものがある。これは杉本にも共通する課題だが、プレー強度の高さや連続性を身につけることで仲間からの信頼を得られるはずだ。

 また、快足ウイングの宮市亮をすでに獲得しており、仲川輝人が神戸からのオファーを断って残留を決意したことで、左ウイングのレギュラー争いも熾烈だ。このポジションには東京五輪代表で前半戦10得点の前田もいるため、最激戦区といっても過言ではない。

 ケヴィン・マスカット新監督の就任が発表され、かつて師事していたアンジェ・ポステコグルー監督の『アタッキングフットボール』を継承するのは間違いない。しかし思考は同じでも人は違う。現時点での構想は不明だが、先発起用される選手や序列に変化があっても驚きはない。

 横浜にとってリスタートの夏は始まったばかりだ。

取材・文●藤井雅彦(ジャーナリスト)

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