【中断明けの青写真|町田】“ボール保持”の精度上昇がキーポイント! 京都との再開初戦は今後を占う試金石に

2021年08月06日 郡司 聡

「成功体験を得られたことがチームにとってプラスに」

町田は23節終了時点で7位。5試合無敗の好調をリーグ再開後も維持できるか。写真:滝川敏之

 東京五輪開催でJリーグは一時中断。その間、各チームは戦力補強やミニキャンプ実施など、再開後に向けて準備を進めている。五輪後はいかなる戦いを見せてくれるか。ここでは、J2のFC町田ゼルビアを取り上げる。

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「安定感が非常に出てきた。このまま中断期間に入ってしまうことが少し残念な気持ちだ」

 ランコ・ポポヴィッチ監督がそう話していたように、中断前の町田の直近5試合は4勝1分。最も大きな変化は、ゲーム運びの進歩だ。

 以前の町田は決定機を決め切れず、先手を奪えないことが次第に焦燥感を生み、「自分たちでゲームを壊してしまう」(深津康太)傾向があった。まさに"自滅"するかのように、勝点を落とす試合も少なくなかった。

 ところがゲーム運びに進化の跡が見える最近の町田は、一味違う。相手のミスに付け込み、したたかに勝ち切った群馬戦を代表例として、中断前最後の相模原戦のように0-0で試合が推移する展開でも、焦れることなく、90分トータルでの結果を見据えて、相手を仕留めた試合もある。

 また、第2クール初戦の水戸戦では、昨季から一度もなかった逆転勝利も成し遂げた。平戸太貴は「成功体験を得られたことがチームにとってプラスになっている」と指摘する。
 
 夏場以降の勝点量産に向けて、クラブは6月下旬にJ1の神戸からMF安井拓也を完全移籍で獲得。中断期間中には横浜FCからDF田代真一を期限付き移籍で復帰させた。

「ストロングポイントはボールを持った時のアイデアや縦パス」と話す安井と、ビルドアップと正確なロングフィードを武器とする田代は、いずれもボール保持で力を発揮するタイプの選手だ。彼らの獲得は、ボールを握って崩す"遅攻"のクオリティをより高めていきたいとする強化部の意図が透けて見える。

 ポポヴィッチ体制1年目の昨季は、ボール奪取からのカウンターを武器としたチームスタイルを確立。2年目の今季は、ボールを握って相手を崩すアプローチを肉付けしてきた。

「ボールを握って相手を崩す形やカウンターでの攻撃など、チームとしてやりたいことをピッチで出せていることが結果につながっている」

 こうした平戸の言葉が象徴するように、遅攻でも速攻でも相手を崩せる自信を深めつつある町田は、ボールを握って相手を崩すアプローチの精度をより高めることが、後半戦の勝点量産に直結すると思い描いている。
 

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