金田喜稔がスペイン戦を斬る!「不可解な堂安と久保の交代。延長戦でこそ彼らは輝いたはずだ」【東京五輪】

2021年08月04日 サッカーダイジェストWeb編集部

能動的な戦略プランが乏しいような気が…

劣勢の展開のなか、堂安の守備の貢献度は非常に高かった。だからといって攻撃への余力がなかったわけではないはず。延長戦でも見たかった。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)/JMPA代表撮影

[東京五輪 準決勝]U-24日本0-1U-24スペイン/8月3日/埼玉スタジアム2002

 準決勝のスペイン戦は延長戦の末に0-1の敗戦。残念な結果に終わってしまった。

 失点の場面では、アセンシオを一瞬、フリーにさせてしまった。彼にボールが渡った瞬間、誰かが自分のマークを捨てでも、もっと厳しく寄せられればよかった。それは頭で分かってはいたんだろうけど、疲労もあったかもしれないし、難しい場面ではあった。

 1失点したが、それ以外では、守備陣は本当によく踏ん張っていた。試合は終始、スペインに圧倒された。日本側は自陣で人数が揃っていても、ギャップをつかれて、パスを通される。相手は中からでも、外からでも攻めてくる。これは質が違うなと、改めて思い知らされた。

 明確な力の差をつきつけられた格好ではあるけど、日本はすべての力を出し切ったうえでの敗戦なのかというと、少し違うのではないだろうか。"やり切った"と納得してしまっては、それ以上、上のレベルは望めない。

 あのスペインに対抗する術は、まだまだあったはず。もちろん、選手たちは必死に戦っていた。持っているものをすべて出そうとしていた。確かな実力のある彼らが全力を尽くすことで、ある程度の相手には勝てたとしても、世界の強豪国と渡り合うには、個々のファイトだけでは足りない。

 劣勢の展開を強いられたとして、それを覆すには何をすべきか。今の日本は、ただ選手を入れ替えているだけのようにしか見えない。一人ひとりのポテンシャルや特長を、より引き出すための別の枠組みというか、たとえばシステムを変更するとか、チームとしての能動的な戦略プランが、少し乏しいような気がしてならない。
 
 それともう1点、どうしても解せないことがある。延長戦を前に、堂安と久保が同時にベンチに下がった。この交代策には首をかしげざるを得なかった。

 もし体力的な部分が考慮されての交代であれば、厳しい言い方になるが、それは大きな間違いだ。たしかに、90分間、日本は押し込まれる時間が続いて、堂安も久保も守備に奔走していた。

 だが、スペインのポゼッションに対して走らされたといっても、しょせんは自陣の中だけで、そこまでしんどいことはない。献身的に守備をこなしつつも、前に出ていくスタミナは余裕であったはずだ。
 

次ページ断言できる。堂安も久保もまだまだ走れたはず

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