【中断明けの青写真|山形】主力復帰など課題解決に明るい材料。昇格争いで目の離せない存在に

2021年08月04日 嶋 守生

最大19あった首位との勝点差を6にまで減らす

シーズン途中就任でチームを上昇気流に乗せたクラモフスキー監督。再開後、より充実度を増した戦力でどんな采配を見せるか注目だ。写真:田中研治

 東京五輪開催でJリーグは一時中断。その間、各チームは戦力補強やミニキャンプ実施など、再開後に向けて準備を進めている。五輪後はいかなる戦いを見せてくれるか。ここでは、J2のモンテディオ山形を取り上げる。

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 山形がピーター・クラモフスキー新監督に体制を移行してちょうど10試合。この間の戦績は9勝1分と土付かずで、勝点28、得点19、失点4と攻守ともに絶好調のまま中断期間を迎えた。

 順位は就任時の17位から6位にまで大幅にジャンプアップ。上位陣がハイペースに勝点を積み重ねたなかで、最大19あった首位との勝点差を6にまで減らし、台風の目として昇格戦線に名乗りを上げたところだ。

 序盤戦の絶不調からV字回復に至ったのは、昨年の石丸清隆体制で培ったボールを動かしながら攻守にアグレッシブに仕掛けるスタイルを、佐藤尽暫定監督とクラモフスキー新監督がベースとして引き継いだことが功を奏した。

 攻守の切り替えやプレーの判断が速くなったことで攻撃のテンポが上がり、遅攻だけでなく速攻にも適応できる柔軟な攻撃サッカーへと進化できている。直近の成績にこだわりすぎず、前監督と近いスタイルのクラモフスキー監督を見出した強化部の功績も大きいだろう。

 しかし、今のチームに課題がないわけではない。調子が良いだけに、どの試合でも攻撃スピードが上がりやすく、その分だけ前半からハイペースで飛ばしすぎる傾向がある。先行逃げ切りのスタイルなので大きくリードできていれば問題ないが、後半に足が鈍って追い込まれる展開が、直近の松本山雅FC戦とジュビロ磐田戦で続いている。
 
 リーグ再開後は相手の対策も進んでくるだけに、この傾向を狙われる可能性は十分にあるだろう。

 90分間を考えたペース配分はより意識したいが、攻撃のテンポやスピーディさという長所がスポイルされるリスクがあるため悩みどころ。5枚ある交代カードを有効に使いながら、途中出場の選手がギアを上げて解決することが望ましく、試合終盤の選手起用と途中出場した選手のパフォーマンスが課題になるだろう。
 

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