【準決勝展望】メキシコ×ブラジル|チャンスの数はほぼイーブン? となれば“決め手”の勝負に/東京五輪

2021年08月02日 河治良幸

両チームのベンチワークも命運を左右

ともに金メダル獲得歴のある国同士の決戦。“格”ではブラジル有利も、まとまりの良さが魅力のメキシコも好チームだ。(C)Getty Images

東京オリンピック・男子サッカー準決勝
U-24メキシコ代表―U-24ブラジル代表
8月3日/17:00/茨城カシマスタジアム

 ロンドン五輪のメキシコ、リオ五輪のブラジル。過去大会の王者による激突だ。

 もうひとつの準決勝で対決する日本、スペインと異なるのは、メキシコもブラジルも90分で準々決勝を終えており、中2日が続く日程でも、より良好なコンディションで戦えるということだ。

 ブラジルは4-2-3-1、メキシコは4-1-2-3が基本システム。国の格からブラジルが有利と見られやすいが、メキシコはチームとしてのまとまりが非常に良く、準々決勝の韓国戦で6ゴールを奪った攻撃面がかなり調子を上げている。

 ブラジルはエジプトにかなり苦しんだものの、FWマテウス・クーニャの挙げたゴールを守り抜いて勝利した。ここまで5得点のリシャルリソンを中心とした攻撃が注目されるが、ジエゴ・カルロスとニノがセンターバックに構えるディフェンスは堅牢だ。メキシコは縦に速い攻撃を得意とするため、ボール保持率はブラジルがやや高くなると見るが、チャンスの数はほぼイーブンになるのではないか。
 
 そうなると「決め手」の勝負になってくる。メキシコは"逆足"サイドアタッカーのディエゴ・ライネス、鋭い飛び出しと決定力のあるアレクシス・ベガが左右からフィニッシュに関わる。ブラジルは右のダニエウ・アウベスと左のギレルメ・アラナの両サイドバックが守備の生命線となるが、彼らのポジションが低くなると、ブラジルの攻撃力は半減してしまう。

 崩しの局面ではトップ下のクラウジーニョやボランチから決定的なスルーパスを繰り出すブルーノ・ギマラエスがアクセントになるが、メキシコの縦に鋭い攻撃に対して受け身になりすぎず、サイドバックの前向きなプレーをチームとして引き出していけるか。

 いずれにしても接戦になれば、ブラジルのアンドレ・ソアレス監督とメキシコのハイメ・ロサーノ監督によるベンチワークが鍵を握る。ブラジルにはレバークーゼンのFWパウリーニョ、メキシコにはエドゥアルド・アギーレという気鋭のアタッカーがおり、その他にも多士済々のタレントが揃っている。ここまで来たら総力戦でもあるので、最後まで目の離せない戦いになりそうだ。

文●河治良幸

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