【中断明けの青写真|松本】怖さ増す攻撃陣を活かすための仕込みも。より鮮明になった「名波カラー」

2021年08月02日 大枝 令

山口、ルカオ、セルジーニョが満を持して“復帰”

着実にチームを進化させている名波監督。選手へのポジティブな働きかけも継続。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 東京五輪開催でJリーグは一時中断。その間、各チームは戦力補強やミニキャンプ実施など、再開後に向けて準備を進めている。五輪後はいかなる戦いを見せてくれるか。ここでは、J2の松本山雅FCを取り上げる。

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 中断期間を経て大きく変貌を遂げ、熾烈な残留争いから抜け出していく構えだ。中断前までは5勝7分11敗(勝点22)の16位。J3自動降格圏まで勝点差はわずか3となっている。6月末に就任した名波浩監督は中断前までにチームの雰囲気を好転させることに成功。中断期間中は怪我人の復帰や再加入選手らの合流に加え、バージョンアップを施して再開を待つ。

 まずは左膝の前十字靭帯損傷で長く離脱していた山口一真がトレーニングに合流。パスにせよシュートにせよゴール前でのクオリティは突出しており、実戦復帰すれば前線で極めて大きな役割を果たすことになりそうだ。

 さらに中断直前から復帰していた191センチのルカオも、引き続き好調をキープ。山口とのコンビネーションを熟成させれば、相手にとっては大いに脅威となるだろう。

 これに加えて、昨季限りで退団したセルジーニョが帰還。韓国の大邱でプレーしていたが、ピッチ内外で適応に苦しんで契約を解除した。松本とは条件面で折り合いがつかず物別れだったが、ここに来て双方の思惑が一致して再加入。本人にしてみれば4年間プレーして勝手知ったる土地だし、クラブとしてもフリートランスファーはありがたい話だ。未知の外国籍選手に手を出すギャンブルもしないで済む。
 
 満を持して加わったこの3人により、松本の攻撃はがぜん怖さを増すことになるだろう。そこにボールを渡すための土台は、名波監督が中断期間中にしっかり仕込んでいる。ボランチが最終ラインに落ちて4バックに可変するビルドアップの形を取り入れ、ボールのルートを繰り返し確認。「前に」という基本コンセプトはブレさせないまま、引き出しを増やしていく構えだ。

 就任直後はまずディフェンスを再整備しつつ、CB陣をキャパシティオーバーにしないため、あえてビルドアップには触れずにいた指揮官。ここから徐々に「名波カラー」を濃くし、松本をさらなる進化に導いていく構えだ。選手へのポジティブな働きかけも継続しており、良好な状態で後半戦に突入できるだろう。

取材・文●大枝令

【PHOTO】名波監督のホーム初戦を手拍子で後押し!アルウィンに駆けつけた松本山雅FCサポーター!
 
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