【セルジオ越後】次は日本サッカーの決勝戦! メダルを獲らないと見向きもされないのが五輪だよ

2021年07月31日 サッカーダイジェストWeb編集部

NZは自分たちの良さをきっちりと出して、決してフロックで勝ち上がってきたわけじゃないというところを見せていた

PK戦に入る前のU-24日本代表の円陣。次はメダル確定を懸けた試合になる。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 120分でも決着がつかなかった東京五輪準々決勝のニュージーランド戦は、PK戦の末になんとか勝利を収めることができた。本当に冷や冷やものの勝利だったけど、まずはメダル獲得に一歩前進したね。

 苦戦の原因はグループステージ初戦の南アフリカ戦と同じ。体格の大きい相手に引かれてスペースを埋められて、ゴール前まで持ち込んでも最後のフィニッシュでは身体を寄せられ枠を外されてしまう。相手もただ引くだけじゃなくて、ボール際ではフィジカルを押し出して簡単にやらせないし、意外と足技も持っていて油断しているとカウンターも繰り出してくる。
 
 後半になると、日本のほうが難しさを感じて試合中なのに、何人かの選手は下を向いてしまっていた。逆に、ニュージーランドの選手は充実した表情をしていて、終盤に向けて危ない雰囲気が漂っていた。前半に1点取れなかったことが、じわじわと効いていたのは確かだったね。

 本当はこういう試合でこそ差をつけて勝ちたかったところだが、相手もグループステージの戦いぶりが示すように、失点はホンジュラス戦の3失点だけで、2試合はクリーンシート。日本戦でも自分たちの良さをきっちりと出して、決してフロックで勝ち上がってきたわけじゃないというところを見せていたよ。後半にフォーメーションを変えて前半とペースを変えてくる辺りは、しっかりと戦略を持って試合に入っていたようだしね。

 一方の日本は、久保くんにしろ、堂安にしろ、あるいは三笘にしろ、ボールを持ったらあっという間に囲まれて抜くことができない。フィジカルで抑えられ、あるいはファウルで止められ、いつも通りの良さが出せなかった。ドリブラーの選手だけでなく、田中も起点となるパスはほとんどなかったし、遠藤も珍しくデュエルで負けていたね。

 そんななかで日本はディフェンスラインがなんとか持ちこたえた。吉田や冨安は最後まで落ち着いた対応を見せていたし、PK戦では谷がヒーローになってくれた。メダル獲得に向けてポジティブな空気が生まれていた中で、まずは強豪と当たる前にニュージーランドが目を覚ましてくれた気がするよ。
 

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