スウェーデンに勝つチャンスは皆無ではなかった…。結果論でも伝えたい、なでしこジャパンの奮闘記【東京五輪】

2021年07月31日 西森彰

スウェーデンは前節から9人を入れ替えた

田中(11番)、岩渕(10番)を中心としたパスワークでスウェーデンを苦しめたが…。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 メダルマッチへ向かうため、なでしこジャパンは、グループG首位通過のスウェーデン戦へ臨んだ。埼玉スタジアムで19時に始まったゲームは、互いに相手を押し込んでラッシュをかける、倒すか倒されるかの攻防になったが、最後は余力に勝るスウェーデンが3対1で勝利。日本はベスト8で大会を終えた。

 なでしこジャパンの高倉麻子監督は、2日前の試合から、先発を4人入れ替えた。チリ戦で、ベンチを外れた南萌華、宮川麻都、83分から出場した中島依美が先発。菅澤優衣香はベンチを外れ、田中美南がトップに入った。一方、スウェーデンはボランチのフィリッパ・アンゲルダルとディフェンダーのマグダレナ・エリクソン以外の9人を入れ替えた。

 主力がリフレッシュした状態で臨むスウェーデンは、試合開始直後の2分、最終ラインのハンナ・グラスが高く保った日本の最終ライン裏を狙い、10番のソフィア・ヤコブソンが抜け出してシュート。これは枠を外したが、日本に背後への意識を持たせることに成功し、ここからクロス攻撃を連発していく。6分、アンゲルダルのシュートを山下杏也加が凌ぐが、完全なスウェーデンペース。

 そして、7分、セットプレーのボールを、一度ははじき返したが、13番のアマンダ・イレステットから18番のフリドリナ・ロルフォとつながれ、最後は連戦のエリクソンに頭で叩き込まれてしまう。わかっていても、どうにもならない、身長差を突いた攻撃で先制を許した。その後も、気分よく攻めるスウェーデンに対し、なでしこジャパンは防戦を続けた。
 
 自分たちのペースを意識し、かさにかかって攻めてきたスウェーデンも、20分を過ぎるあたりから圧力が弱まった。そこを突いて、日本も反撃を開始。24分、初戦のPKを獲得したシーンを左右対称で見せるかのように、長谷川唯が右から上げたクロスに、田中美南がファーサイドで合わせて同点とする。

 34分、スウェーデンのコソバレ・アスラニに一瞬のスキを突かれて、ほぼフリーでシュートを打たれるが、山下がしっかり正面に入ってセーブ。このシーンを除いて、その後は、ハーフタイムまで日本のペースになった。

 守備では、アメリカ、オーストラリアも封じられなかった右サイドのチャンスメーカー、ヤコブソンのプレーを限定。右足での速いマイナスのクロスを入れさせなかった。また、攻撃ではフォワードタイプで、守備はややルーズなロルフォの裏を狙った。スウェーデンもこれを想定してセンターバックタイプのエリクソンをサイドに回して蓋をしようとしたが、長谷川と清水梨紗のコンビが上回っていた。

 38分、宮川から岩渕真奈のスルーを挟んで田中のリターンを岩渕へつないだ場面や、清水、岩渕の連係から田中に合わせるクロスが送り込まれた40分のシーンなど、なでしこらしいプレーも見られた。

 やや、ツキがなかったのは、ペナルティエリア内で田中が倒れたプレーに、いったんPKの笛が吹かれ、それがVARで取り消されたシーン。日本のパス回しに振り回されていたスウェーデンの選手が、息を入れるタイミングが生まれ、同点でハーフタイムを迎える。
 

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